約 5,916,301 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1662.html
前 ※前後編のくせに別物ってくらい話の雰囲気が違います 何か悪いことしてない、むしろ健気なゆっくりが残念なことになります なんかそんなんですが、良ければ読んでやってください ヘルニア(後) 「ゆっぐ・・・えっぐ・・・」 泣きながら家を目指す1匹のまりさ。 そのまりさは変わった事に、通常ゆっくりが行うように飛び跳ねての移動をせず、ずりずりとナメクジの様に這いのめいていた。 只でさえ遅いゆっくりの足、それに拍車をかけての鈍足である。恐怖と苦痛により、まりさの顔には焦りが伺われる。 「ゆぅ・・・・・ぐびゃあぁ!?」 焦れたまりさは一際大きく体を伸ばす。だがその瞬間、まりさの体に電流が走る・・・!! 金属により歪に圧迫された神経が、まりさの意思とは関係なく誤認信号を放つのだ。 「あびゃびゃ・・・がはぁ・・・!!」 そうして白目を剥き出し、全身を強張らせてまりさは悶絶した。 その衝撃は凄まじく、痛みの波が引いた後もしばらくは下半身が麻痺するほどのものであった。 そうやって進んでは止まり、進んでは止まりの牛歩の行軍を続けたまりさが巣に戻る頃には、辺りには夜の戸張が降りていた。 「おかえり、まりさ!きょうは おそかったのね・・・・・どうしたの?」 「ゆ・・・ゆぐ・・・ゆわああああぁぁぁぁぁぁん!!!」 出迎えたありすは、最愛のパートナーの態度に狼狽した。 この山最強を自称するまりさであったが、事実ゆっくり達の中ではかなりのもので、れみりゃ種どころかふらん種にも引けを取らない 程の運動神経と利口さを兼ね備えていた。そんな彼女が無様にもまるで赤子のように泣き叫ぶ光景は、ありすには信じられないもので あった。何とか咽び泣くまりさをなだめすかし、ありすは事の顛末をまりさから聞きだした。力なくポツリポツリと言葉を紡ぐまりさ の姿には、普段の自信に満ち溢れた力強さなど微塵も感じられず、絶え間なくありすの心を締め上げるのだった。 「ゆっくりりかいしたよ!それじゃあまりさ、ゆっくりがまんしてね!!・・・ゆんしょ!ゆんしょ!」 「いぎゅっ!?あびゃっ!?ありす、ゆっくりやめてね!!それいじょうするとしんじゃうよ!!!」 何とかしてありすは鈍く光る鉄板を取り出そうとしたのだが、時すでに遅くそれは完全にまりさの体に組み込まれていた。 ゆんしょゆんしょと引っ張る度にまりさは精一杯の悲鳴をあげる。手の施しようの無いことを知り、2匹は途方にくれるのであった。 「・・・ねぇありす、あしたまりさはゆっくりここをでていくよ。」 「ゆゆ!?いきなりなにいうのおぉぉ!!?いたかったのは わるかったけど あんまりだよおぉぉぉ!!!」 「ゆっくりきいてね!!さっきは いたかったけど、ありすが まりさのことを おもってくれてたことは わかってるんだぜ? まりさは そんなありすのことが だいすきなんだぜ!」 「じゃあなんで でていくなんて いうのおおぉぉ!?」 「ゆぅ・・・まりさは もうまえみたいにとんだりはねたりできないんだぜ・・・。ここにすみつづけるとありすにめいわくかけるんだぜ。 だから、ありすには ほかのゆっくりと けっこんして しあわせになってほしいんだぜ・・・。」 「ゆうう・・・まりざのばが!!あり”ずはまりざじゃな”いどだめなんだよお”おおぉぉぉぉぉ!!!!!」 「ありす・・・・・」 「ありすがんばるから・・・!がんばるからいっしょにゆっくりしようよおぉぉぉ!!!」 眼前で思いの丈を叫ぶパートナー、そんな彼女を見てまりさも耐え切れなくなり、ついには2匹揃って泣き始めてしまった。 数分後、たっぷり涙を流し悲しみを洗いきった2匹は、いいムードに包まれてゆっくりその身を近づけて・・・ 「ゆぎゃあああああ!!!ずっぎりでぎないいいいぃぃぃ!!!!!」 愛を確かめ合おうとしたところ、腰痛によりまりさはすっかり不能になってしまっていた。 そんなまりさだが、ありすは愛想をつかすことなく、朝まで優しく寄り添っていた。 「それじゃいってくるね、まりさ!!」 「ゆっくりいってらっしゃい!!」 翌日から、2匹の生活は一変した。 これまでは運動神経のよいまりさが狩りに出ていたのだが、こうなってしまった以上ありすが狩りに出かける事となった。 一方のまりさは自室に篭りきり、腰の養生に時間を割く毎日となった。ありすが狩りに馴れてないこともあり、以前のように大量の食料が 確保できず、また質のほうも苦い草など散々なものであった。だが2匹は幸せだった。 梅雨 「ゆっくりしーしーするよ、ぺーろぺーろ・・・」 「ゆぅ・・・・・ごめんねぇ・・・・・」 ありすはまりさの下腹部を舐めてやり、排尿行為を行為を促してやる。雨が続き湿度の上がるこの時期、体内に過剰にたまった水分をゆっ くりは尿として排泄し、自身の水分バランスを調節する。成体となったゆっくりは本来自分の意思によって行うことが可能なのだが、腰を 患ったまりさにはそれが不可能であった。そこで定期的に、親が子にしてやるようにありすがまりさの排泄口を舐めてやり、排尿を手伝 ってやる必要があった。長雨の続くいま、外へ出られない日々が続き食料も不足した。看病疲れも合わさって、ありすはひどくやつれて しまった。まりさはそんなパートナーと、ただ負担にしかなれない自分に苦しんだ。 夏 長い雨も終わり、辺りは生命の活気に満たされた。介護の負担の減少と、食料の確保が充分に出来るようになったため、ありすは以前の 気さを取り戻し、それに応えるようまりさの容態も幾分ましになっていった。流石に飛び跳ねることの出来ないものの、リハビリも兼ね て巣の周辺を散歩することも多くなった。もっとも、夏の日差しや熱せられた地面に鉄板が触れるたびに、まるで餡子が焦げ付くような 苦痛に襲われるため、とてもゆっくり出来るようなものではなかったが。 「こんにちは!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」」」 ある日、散歩に出かけた2匹はとある一家と出合った。たくさんの子供達に囲まれて楽しそうな母、子供達の方もやさしい母に愛を注が れ毎日が幸福でいっぱいと言わんばかりだ。 「ゆっくりしていってね!あかちゃんたち みんなかわいいね!」 そう言って優しく微笑むありすの目には、どこか淋しそうな光が浮かんでいた。 まりさはそれに気付き、またもや心が痛んだ。 秋 「これでゆっくり ふゆをこせるね!まりさの からだも よくなってきてる しよかったね!」 「そうだね!ふゆがおわって はるになったら あかちゃんつくろうね!」 巣の中でたっぷりの食料に囲まれた2匹はホクホクである。これだけあれば越冬中に尽きることもない。 鉄板が馴染んだのか、まりさの腰も大分良くなっていた。 冬が明けて暖かくなったら子供をたくさんつくろう、そして、今年の分を取り戻すくらい幸せになろう・・・。 そう話す2匹は希望に満ち溢れていた。きたる幸福な未来を思い、自然と笑みがこぼれる。 そんなささやかな幸せ、それは突然の来訪者によって脆くも崩れ去った。 「うー!おいしそうなおまんじゅうだど~♪」 「みんなでなかよく ディナーだど~♪」 「「「れみ、りあ、うー♪」」」 巣の入り口には中を覗き込む3匹のれみりゃの顔があった。 以前のまりさであれば充分撃退できる程度の相手、だが手負いの体にはあまりにも強大な相手であった。 他に出口はなく、今から掘っても間に合わない。万策尽きたか・・・まりさは観念しその身を委ねようとした。 「・・・まりさ、ずっとあいしてた。いままでありすとゆっくりしてくれてありがとう。」 「ありす・・・?」 「こどもはできなかったけど、とってもしあわせだったよ。あたたかくなったら あたらしいおよめさんをみつけてね。」 「さっきからなにいってるの?さっぱりわからゆっぐ!!?」 突如ありすはまりさを巣の奥へと突き飛ばし、自身はれみりゃの待つ出口へと躍り出た。 「ゆぅ・・・う!? ありす、なにしてるの!!?」 ありすは振り向かない。そして、冬篭り用に積んであった資材に激しく体をうちつけた。 「うー?これじゃなかのまんじゅうがたべられないんだどー?」 「でも1こでてきたんだど~♪」 「それもそうだど~♪それじゃみんなでたべるんだど~♪」 駆けつけた入り口は完全に閉ざされており、その向こうからは耳障りなれみりゃの声が聞こえる。 まりさは必死に扉を打ち破ろうとするも、弱った体ではそれは叶わなかった。 「「「いっだだっぎま~すだどぉ~♪」」」 「ぐっ!!?」 くぐもったありすの声が聞こえる、必死に叫びを堪えているのだろう。 「うまうま~♪1個しかないから ゆっくりあじわってたべるんだど~♪」 「おじょうさまは がつがつしないんだど~♪」 「・・・・・!!・・・・・・!?」 ありすにとっては死刑以上の宣告である。それでも必死に悲鳴を噛み殺す、だがもはや限界であった。 「・・・いぎゃああああぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!??? いだい”いいぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 「うるさいおまんじゅうなんだどぉ~♪」 「じにだぐないぃ!!じに”だぐな”い”よ”お”お”おおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 「でぃなーはしずかに たべるもんだど~♪」 「だずげでええぇぇぇ!!!だずげでま”り”ざあああぁぁぁぁ!!!」 「ここには まりさなんていないんだど~♪」 まりさには聞こえていた。 悲痛な声で叫ぶ愛しいありすの絶叫も、耳障りに笑うれみりゃの声も。 その全ての一言一言が、まりさの心を大きく深く切りつけていった。 両の目から一生分とも思える涙を吐き出しながら、全身全霊の体当たりを行うも扉は無情にも開かない。 心も体も擦り切れんばかりになった頃、外はもう静かになっていた。 「う~♪おいしかったんだど~♪」 「おうちかえって おひるねするんだど~♪」 満足したらしいれみりゃ達の羽音が遠ざかっていく。 それを聞き、全てが終わったことを理解した瞬間、まりさの心は砕け散った。 (・・・ねぇ、まりさ。きこえてるかしら?) 何やら聞こえるが意識がはっきりせず、言葉の意味が理解できない。 (わたしはしんじゃったけど、わたしのぶんまでながくいきてしあわせになってね) 聞き覚えのある声だ、いったい誰だっけ? (それじゃあ・・・ゆっくりしていってね!) そうだ・・・そうだった、この声は 「ありす!!」 跳ね起きたまりさは、割れんばかりの声を張り上げる。 だがその声に返すものは何もない。 暗い穴の中、まりさは声が出なくなるまで叫び続けた。 冬 「むーしゃ・・・むーしゃ・・・・・」 穴の中には力なく餌を食むまりさが1匹。 その姿に覇気はなく、生きているのかすら疑わしい。その姿は幽鬼のようであった。 「ごちそうさまでした・・・」 一人呟き食事を終える。まるで誰かに報告をしているようだ。 まりさにとって食事は楽しいものではなく、ただの義務でしかなかった。 最愛のパートナーの最後の言葉、それは生きて欲しいと言う願いであった。 正直なところまりさは生きたくなかった。一刻もはやく彼女の後を追いたい気持ちばかりであった。 だが、それを彼女は喜ばないであろう。命を賭してまでの彼女の願い、それはまりさを縛り続けた。 ああ、今日も寒さが染みるなぁ・・・そう考えながら、まりさは冷えて疼く腰をかばいながら床へとついた。 冬が明ければ少しはましになるか、そう考え眠るまりさの夢は今日も変わらない 夢の中でありすが告げる、ゆっくり生きてと・・・ 春の訪れはまだ先だ。 やっと終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3106.html
※現代もの ※すごいぬるい 「う〜寒い寒い。」 不本意な残業を片付け、僕が最寄り駅へと帰ってきたのは夜中の10時を回る頃であった。 このまま家路を急いでもいいのだが、なんとなく温かい物が欲しい。 体感では氷点下を下回るであろう身を刺すような寒さに、僕は完全に参っていた。 「何か温かいのが欲しいな・・・缶コーヒーでも買って帰ろう。」 運よく駅から5分ほど歩いた人気の無い街頭の下で、お目当ての自販機を見つけた。 財布から小銭を3枚出し、投入する。 チャリンと小気味の良い音が響いて、購入可能である事を示すランプが点灯した。 「この自販機、半分がつめた〜いだけど、この時期に買う奴とかいるのかな・・・」 そんなどうでもよい事を考えつつ、僕は缶コーヒーのボタンを押した。 普段ならガコンッというこれまた気分の良い音を立てて缶コーヒーが出てくるのであろうが、今回は違った。 ベチッ 「ゆぎゅっ!・・・・っぅぁああ゙あっつゔうぅゔゔうぅぅゔうゔううゔううう!!!!??!」 「うお!?」 流石の僕も驚いた。何が流石なのかは判らないが。 自販機の取出口から変な音がしたと思ったら、すぐさま絶叫に変わり響き渡ったのだ。 一体何なのだろうか、僕はすぐに取り出し口を開けて中を覗き込んだ。 「ゆ゙っ・・・ゆ゙っ・・・」 ゆっくりだ。暗くて良く見えないが、取り出し口の中にグレープフルーツ大のゆっくりれいむらしき物がうずくまっていた。 熱々の缶コーヒーが直撃したのだろう。打撃と熱のコンボを叩き込まれたれいむはかなりのダメージを受けているようだった。 「おーい、大丈夫か?」 とりあえず声をかけてみる。こんな場所に入り込んでいたれいむの自業自得ではあるが、 そのまま死なれても寝覚めの悪い事になりそうだったからだ。 「ゆ゙ぅ・・・な゙に?なんなの?いだいしあづいよ・・・」 なんとも頭の悪い返事が帰ってきた。見た感じは喋れない程の重症ではなさそうだった。 とりあえずこのままでは如何ともし難い。缶コーヒーも取り出せないので、僕はれいむを引きずり出す事にした。 ついでに火傷の治療も兼ねてもう一本オレンジジュースを買うことにした。 今買った缶コーヒーをやっても良かったのだが、なんとなくカフェインが悪影響を及ぼしそうだったので避けておいた。 「ゆぅ・・・つめたくてきもちいいよ・・・」 120円のつぶつぶオレンジジュースをよく振り、れいむに飲ませてやる。 ついでに火傷している場所に少し垂らしてやると、れいむはみるみる回復していった。 5分もするとれいむは完全に回復してしまった。相変わらずの不思議生物っぷりである。 そろそろまともな会話もできるだろうか、僕はれいむに問い正してみることにした。 「なぁれいむ、どうしてあんな所に入ってたんだ?」 「ゆ!おそとはさむかったからあそこでゆっくりしてたよ!!あったかいしすごくゆっくりできたよ!!」 その理由は大体僕の予想してた通りであった。田舎の自販機とかは蜘蛛とかよく入ってるもんなぁ。 と言うかゆっくりできてねえだろ・・・もう忘れたのだろうか、流石餡子脳。 「れいむ、あそこは温かくてゆっくりできてたかもしれないけど、入ってるとゆっくりできなくなるんだよ。」 僕はれいむに言い聞かせてやる事にした。我ながら意味不明な説明だが。 それでもゆっくりの餡子脳には十分な説明だったらしい。れいむはすぐに納得してくれた。 「ゆ!?そうなのおにいさん!あんなにゆっくりできてたのに・・・ ・・・わかったよ!れいむはべつのゆっくりプレイスをさがすよ! おにいさん、ありがとうね!」 「分かってくれて嬉しいよ。それじゃあな、気をつけろよ。」 野生にはゲスが多いという。しかしこのれいむは聞き分けの良い部類らしかった。 靴を餡子で汚す結果にならなかった事を僕は安心した。 缶コーヒーを片手に僕は歩き出す。後ろの方でれいむがピョンピョン飛び跳ね続けていた。 缶コーヒーも飲み終え、幾分温まった僕は家路を急いでいた。 しかし、15分ほど歩いたところで、一つの違和感に、気付いた。 「あいつらって・・・取り出し口の蓋開けられたっけ・・・?」 そう、ジュースの自動販売機の蓋は外開きなのである。 内開きであれば無理矢理入る事もできるが、外開きの場合では手の無いゆっくりには蓋を開けることが出来ない。 実はこの話には真相があったのだ。 〜約1時間前〜 「ゆぅぅぅん・・・さむいよ・・・ゆっくりできないよ・・・」 吹き付ける風に震えている野良ゆっくりは紛れも無い、あのれいむである。 おうちを持たないこのれいむは、日々寒さと闘い、ゆっくりできない日々を送っていた。 そんな繰り返しかのように思えた日々の中で、れいむの前にその男は現れた。 「やぁ!僕は虐待お兄さん!」 後の経過は諸君等が想像する通りであろう。 温かくてゆっくりできる場所があると誘われたれいむは、お兄さんの手によって自販機にぶち込まれてしまった。 中から出てくる事は簡単であるが、こんなゆっくりした環境からわざわざ出てくる事は無いだろうというお兄さんの考えであった。 中でのゆっくりした環境と、缶コーヒーがぶち当たったショックとその後の気持ち良い治療のせいで、れいむの餡子脳からは 「誰かに入れられた」という記憶がすっぽり抜けて落ちてしまっていたのだ。 時期を同じくして、青年の町では怪事件が頻発した。 夜な夜な自販機の取出し口にゆっくりが詰め込まれているというものだった。 比較的体の小さいあのれいむはまだ幸運な方であった。 酷いものになると無理矢理詰め込まれ、自力での脱出はおろか人が引っ張っても脱出が不可能なゆっくりがいた。 一家全員が無理矢理押し込まれて地獄絵図さながらになっていたケースもあったという。 そういったゆっくりは職員に生きたままミンチにされ、引きずり出されていった。 また、別の誰かのイタズラなのか、取り出し口の中で缶に埋もれて死んでいたゆっくりもいたそうだ。 その自販機はあったか〜いの方が全て売り切れになっていたらしい。 1週間後 今日も不本意な残業を片付け、僕は家路を急いでいた。 あのれいむは元気でやっているだろうか、願わくばどこかで無事にゆっくりしていて欲しい。 そう思いつつ僕はポケットに手を突っ込み、歩を進める。 自販機には、立ち寄らなかった。 終 あれ、虐待してねえや
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3008.html
※一部俺設定あり。 ※一見、罪のなさ気なゆっくりが被害に遭います。 【ゆっくりと大晦日の祭事】 私の村には毎年大晦日になると、ある方法によって翌年の兆候を占うという祭事がある。 それは、今年一年、大切に育ててきたゆっくりの家族を使用して占うものである。 このゆっくり達には、我々と同じ食事を与え、広々とした部屋で何不自由なく過ごさせている。 いわば、最高のゆっくりできる環境で育てているのだ。 ──とある年の12月30日、朝。 チュンチュン… 「ゆっ!おちびちゃんたち、そろそろゆっくりおきようね!」 「ゆ…、ゆぅ?」 「まりしゃまだねみゅいよ…?」 「れいみゅも…」 眠気まなこの赤まりさ一匹と赤れいむ二匹 そんな子供たちに、片親である親れいむは優しくそして元気に挨拶をする。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆ?!おきゃーしゃん」「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」」」 子供たちは親れいむの おはよう の挨拶にすっかり目が覚めたようで、元気に応える。 「さ、おちびちゃんたち、おはようのすりすりしましょうね!」 「ゆゆー!?まりしゃしゅーりしゅーりしゅるよ!」 「ゆゆ!れいみゅも!」「れいみゅだってしゅーりしゅーりしちゃいよ!」 僕はそんな光景を、少しだけ開いている扉の隙間から覗き込むように微笑ましく見ていた。 コンコン! ノック音 「ゆゆ?!おにーさんだ!さ、おちびちゃんたちあいさつするよ!」 「おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」」」 僕はその挨拶に応え、朝ごはんを目の前に置いてやる 「ゆーっ!おにいさんありがとう!」 「「ゆゆーっ!あしゃごはんだにぇ!ゆっきゅりたべりゅよ!!」」 「「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ〜!!!」」」 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 幸せそうに朝ごはんを食べるれいむ達を確認し、僕は明日の"準備"に戻ることにする。 僕は仕事があるからゆっくりしているようにと伝えると、 「ゆ!?ゆっくりりかいしたよ!!むーしゃむーしゃ!!」 と、ゆっくり達はすぐさま食事に戻る。 同様に、"準備"の合間に昼・夜のご飯の用意をしてやり、ゆっくり達が寝る時間になると、 彼女たちが幸せそうに眠りに落ちていく様子を見て、自分の複雑な感情を抑えつつ、また"準備"に戻った。 このゆっくり達は暖房の利いた部屋の中で過ごしているため、冬籠りはしない。 そして、食料も僕が運んでくるため、狩りに行くこともない。 このゆっくり達はある理由により片親ではあるが、何不自由なく暮らせていた。 とてもゆっくりとした生活が出来ており、とても幸せだった。 この日までは ──12月31日、大晦日。 コンコン! ノック音 「ゆ?!おにいさんだよ!さ、おちびちゃんたちあいさつしようね!」 「おにーさん!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」」」 今日もその挨拶に応え、朝ごはんを目の前に置いてやる。 「ゆゆー!おにいさんありがとう!」 「ゆ?!きょうはいつもよりごうせいだね!」 「ゆゆ?!ごうしぇい?ゆぅーっ!いちゅもよりしあわしぇだね!!」 「いただき…??? ゆっ?!」 ゆっくり達が朝ごはんを食べようとした瞬間に、僕はその動作を遮った。 「ゆゆ?!!どぼじでおじょぐじざぜでぐでだいどぉぉぉぉぉ!!?」 「ゆゆー!おにいざん、いじわりゅしにゃいで、ごはんちゃべちゃちぇちぇにぇ!!!」 「そーだよ!まりしゃはおなきゃすいたんだよ!?」 「ゆっきゅりはやく、ごはんたべしゃしぇてにぇ!!!!」 「ばきゃなにょ?しにゅにょ?!!」 罵詈雑言を浴びせ急かすゆっくり達に、僕は優しく諭してやる。 今日は大晦日という特別な日だから、体を綺麗にしてからご飯を食べようね。 体を綺麗にすれば、来年からはもっとゆっくりできるようになるよ。と 「ゆぅ…、ゆっくりりかいしたよ!はやくきれいきれいしてね!」 「「「ちちぇね!!!」」」 やや不満げな親れいむを持ち上げ、神酒を浸した布で丁寧に拭いていく。 「ゆ?なんだかゆっくりできないにおいだけど、とってもきもちいいよ!!」 それを見ていた赤ゆっくり達は、まりさも!れいむも!とねだってくる。 一通り拭き終わると、ゆっくり達に食事のGOサインを出してやる。 すると待ってましたとばかりに、飛びつくようにして食べ始める。 「「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ〜!!!」」」 「むーしゃむしゃ、しあわせー!」 幸せそうに朝ごはんを食べるれいむ達を確認し、僕は今日の"準備"に備え部屋を出る。 「ゆぅ〜、にゃんだきゃれいみゅ ねみゅくなってきちゃよ…」 「ゆ…まりしゃもにゃんだきゃ ねむねむさんだよ…」 「れいみゅも…Zzz」 「ゆふふ!おちびちゃんたちはもうおひるねなの?とってもゆっくりして…いい…ゆっく…Zzz」 そうして、4匹はゆっくりと眠りに付いた。 ゆっくり用の睡眠導入剤を加えた食事を食べたゆっくり達は、 すーやすーやと寝息を立てて寝ている。 僕は少しだけ開いた扉の隙間から4匹が寝たことを確認し、そっと運び出す。 「ゆぅーん、ゆっきゅちちちぇっちぇね!」 「「ゆっくち!!」」 「ゆっくりしていってね!…ゆ?!」 ゆっくり達が目覚めた場所はいつもの部屋ではなかった。 そこはとある神社の一角。 ゆっくり達はそれぞれ個別の透明な箱に入れられており、 八卦を模した巨大な正八角形の盤には平面鏡を中心に、 坤の方角に「親れいむ」1匹、巽の方角に「赤まりさ」1匹、 離の方角に「赤れいむ」1匹、兌の方角に「赤れいむ」1匹と並べて置いてある。 「ゆゆ?!おにいさん、このはこせまいよ!ゆっくりできないよ?」 「おにーしゃん、ゆっくりしちぇないでここからだしてにぇ!!」 僕はその言葉を無視し、当代と呼ばれるこの神社の神主に、ある神具を渡す。 それは数百年続いてきたこの祭儀では無くてはならないもの。 しめ縄が付いた"横杵"である。 当代の指示に従い、赤まりさを白布の上に置き、しめ縄で縛り付け固定をする。 赤まりさは何が起きるのか理解しておらず、キョトンとした表情でこちらを見つめる。 「ゆゆ?!やめてあげてね!なんだかゆっくりできないきがするよ!!! れいむのおちびちゃんを ゆっくりはやくはなしてあげてね!」 当代は今年一年の穢れを払い、来る年の安寧を願い、祝詞を唱える。 当代の振り上げた横杵は、弧を描くように赤まりさへ向け振り下ろされる。 「ゆ? ゆべぇっ!!!!!」 ドグチャッ!と放射状に飛び散る赤まりさだったあんこ 「おじびじゃあああああああああああんんんんn!!!どどどぼじでぞんなごどずるどぉおおおおおおおおお!!!」 「ゆわーん!!ゆっきゅりできにゃいぃぃぃぃっぃぃぃぃぃぃ!!」 「もうおうちかえりゅううううううううう!!」 私の村には毎年大晦日になると、ある方法によって翌年の兆候を占うという儀式がある。 それは、今年一年、大切に育ててきたゆっくりの家族を使用して占うものである。 このゆっくり達には、我々と同じ食事を与え、広々とした部屋で何不自由なく過ごさせている。 いわば、最高のゆっくりできる環境で育てているのだ。 この村の祭儀では、ゆっくりを潰した時に四散するあんこの状態によって、来る年の兆候を占う。 四散したあんこを見て当代は不安げな面持ちで語る。 この飛び散り方は、虫害と水害による作物の不作の暗示だ。 「?!」 騒然とする村びと集は、どうすれば不作を防ぐことができるのか、当代へ詰め寄る。 当代は暫く口をつぐんだ後、独り言のように何かを呟き始める。 〜〜弱く幼き命を水の神へ、大もとたる命を大地の神へ〜〜 「ごろずっ!ごろじでやる!!!ごごをだぜ!じじい!!ごろじでやるぅぅっぅぅぅ!!」 涙と涎とショックで吐いたあんこによって、ベトベトな状態で箱の中から体当たりをする親れいむ。 「ゆ…ゆ…ゆ…ゆ…」 「ゆっ…ゆっぐじっ…ゆっゆっ…ゆっぐじじだいよぉぉ…おかあしゃーん!!!ゆぐっ…」 一匹の赤れいむはショックであんこを大量に吐き、痙攣を起こしている。 もう一匹の赤れいむは泣きながら箱の隅を押して外に出ようとする。 僕は当代の指示により、痙攣している赤れいむが入っている箱に清水をゆっくりと注いで行く。 「ゆ…ゆぼっ…ごぼぼっ…ごぼぼぼ…ゆぼ…もっと… ゆっきゅ… …」 「おじびじゃあああああああああああああんんんん!!!」 親れいむの声は痙攣した赤れいむへは届かず、箱は黒く澱んで行った。 次に僕が親れいむを見た時には、今までの表情とは正反対に変わっていた。 「ゆぅぅ!やべでぐだざい!!おでがいじばずぅぅぅ!!!もうぜいだぐいいばぜんがら!ぼっどゆっぐりじばずがら!!!」 「どどど どぼじでごんなごとずるのぉぉぉぉぉ!でいぶだじ わるいごど じでないの"に"ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 当代はゆっくりと口を開いた。 お前たちこの村のゆっくりはな、大昔から我々の畑を襲い野菜を奪い、水田を襲い米をダメにして来た。 毎年のように追い払うが、次の年には何もなかったかのようにまた襲いに来る。 お前らゆっくりのせいで、この村は何度も飢饉にあい、多くの村びとを失ったんだ。 その報いにお前らゆっくりを神に捧げ、豊穣を安寧を祈っているんだよ。 「ゆゆぅ!!でも、でいぶだじはぞんなこどじでぇ… ?!」 親れいむの脳裏にフッと浮かんだ記憶の断片。 〜 〜〜 〜〜〜 『……〜ん』 『…しゃ〜ん』 『おかぁしゃ〜ん、ここのおやさいしゃんはとってもゆっくちしておいちいね!!』 『ゆふふ、おちびちゃんもいっぱいたべて、ゆっくりおおきくなってね!』 〜〜〜 〜〜 〜 「…ゆっ…」 また別の記憶の断片が浮かぶ。 〜 〜〜 〜〜〜 『ゆえ〜ん!!おかぁしゃんにひどいことじないでぇ〜〜〜!!!!』 『お、おじびじゃん…れいむのがわいい…おじびじゃん…どうか…ゆっぐり…し』 ドグチャッ!!! 〜〜〜 〜〜 〜 親れいむは、以前もこれと同じ光景を見ていたことを思い出した。 だが今回は違う。見ている視点が違った。 親れいむの豹変ぶりに、僕はゾクゾクッと電気が走ったように震えたが、キュッと顔を引き締め、 親れいむの箱へ、アリの巣から取り出した大量のアリをゆっくりと入れて行く。 無数のアリに覆われ、蝕まれて行く親れいむは悲しげな面持ちのまま、黒い塊へと変わって行き、大地へと還った。 一匹を潰し豊穣の神へ捧げ、一匹を水の神へ、一匹を大地の神へ捧げた。だがこの祭儀には続きがある。 それは、残した一匹をその儀式に立ち会わせ、一部始終を見せることにより、トラウマを植え付け、 その後、しばらくはトラウマで人間不信となるが、すぐにそれを忘れる。 そして翌年伴侶を与え、子供を産ませ、不自由のない環境で育てたあと、大晦日に親と子供を潰す。 一匹を残して。 そして、次の年もその次の年もそのまた次の年も… 村の人間の多くは、来る年の吉兆を願い、また旧年の厄落としの意味で参加しているが、 私のように、ゆっくり達のあの表情を、あの命乞いを、 そして全てを悟ったかのような 最後のあの顔を見るために参加しているものも少なくはない。 あの状態でのゆっくりはとても甘く、素晴らしく美味な饅頭となるだろう。 それを豊穣の神へ捧げることにより、来る年の祈りと変えるのだ。 この祭儀は来年も、再来年も、ゆっくりが絶滅しない限りずっと続いて行くだろう。 あとがき 初めて書きました。読みにくい・面白くない・虐待分が足りない等、 多々あると思いますが、読んで頂きありがとうございました。 今度書く機会があれば、みなさんの作品や批評を参考にさせて頂き、 よりよいSSを書けるよう、努力します。 このゆっくり達の犠牲によって、新年はみなさんが幸せで暮らせますように。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2304.html
前 次の日、俺は親ゆっくり達のお互いを罵る罵声と、それを止めようとしている姉妹たちの叫び声で目が覚めた。 「なんでまりさがゆっくりねてるの!?れいむとあかちゃんのためにゆっくりしないでみはってくれないなんてひどいよ!!!!!」 「うるさいんだぜ!!まりさはいっしょうけんめいみはってたけどつかれちゃっただけだぜ!!」 話が見えてきたぞ、多分寝ずの番をすると言っていた親まりさがぐっすり眠っているのを朝起きた親れいむが見つけて喧嘩になったんだろう。 三日前まではあんなに仲が良かったのにね、それにしても俺も含めてお前等の子供はまだ赤ちゃんなんだから喧嘩なんて見せちゃダメだろ。 「「おかーしゃんたちゆっくちちてね!!」」 あー止めとけよ、親れいむも親まりさもイラついてるんだからそんなこと言うと。 「ぷんぷん!!!うるさいんだぜ!!!あかちゃんたちはしずかにしてるんだぜ!!!!」 「「ゆゆ!?ゆぅ~‥」」 「あかちゃんたちにどなったね!!!れいむおこったよ!!!!まりさはあかちゃんたちにゆっくりあやまってね!!!」 「みんなとってもうるさいんだぜ!!!!!まりさはおこったんだぜ!!!!」 あーあ、親同士の喧嘩に油注いじゃったよ。 親れいむも親まりさも、お互いのことを睨みあう。 俺の姉妹は可哀想に、眼に涙をためてぷるぷる震えてやがる。 十秒は経っただろうか、親まりさは巣の入口から外に出て行こうとする。 「まりさどこいくの?!れいむとあかちゃんたちにあやまってないよ!!!」 「…うるさいんだぜ!!‥しばらくそとのくうきをすってくるからそのあいだれいむたちははんせいしてるんだぜ!!」 そう言うと親まりさは外に出かけて行った。 「ゆぅえぇぇぇん!!!ゆぇぇぇん!!まりしゃおかーしゃんのばきゃ~!!!」 「ぷきゅぅぅ~!まりしゃおかーしゃんいじわるだよ!!」 「あかちゃんたちないたりおこったりしちゃゆっくりできないよ!!!まりさのことはいいからみんなでゆっくりしようね!!」 泣きだす姉れいむに膨れて怒る妹まりさ、意外な事に親れいむは地団駄を踏んだり、眼の前にいない親まりさの悪口を言うことなくゆっくりしようと言っている。 「まりさはしばらくしたらおいしいものをもってごめんなさいしにくるよ!!それまであかちゃんたちはれいむとゆっくりしようね!!」 だそうだ、親れいむが言うには親まりさは気性こそ荒く乱暴者で喧嘩は今までも沢山してきたが、 遅くとも喧嘩の次の日には、花や綺麗な小石や美味しい虫に木の実といったゆっくりできるものを持って帰ってくるそうだ、ちょっと意外だな。 その後、しばらく俺はお歌の練習という名の酷い虐待を姉妹たちと一緒に受けることになった。 「ゆぅ~♪ゆ!ゆぅぅ♪ゆぅ~ゆぅ~♪」 「「ゆぅ~♪ゆ!ゆぅぅ♪ゆぅ~ゆぅ~♪」」 「ゆーゆ!ゆゆーゆー!」 「まりしゃおねーちゃんちゃんとうたっちぇね!!じょーじゅじゃないよ!!」 「まりしゃとっちぇもへただよ!!ゆっくちまじめにうたっちぇね!!」 体はゆっくりになっても感性は人間のままだったようだ、ゆっくりの歌は生前と同じように聞いていても不快なだけだ。 それを歌えと言われてもうまく歌えるはずがない、俺のへたくそな歌に姉妹たちは耐えられなかったようださっきから俺に向かってうまく歌え、真面目に歌えと言ってくる。 「ゆ~…たしかにちょっとじょうずじゃないね!!でもまりさはれいむとまりさのあかちゃんだよ!!すぐにじょうずになるからゆっくりしてね!!すーりすーり♪」 「ゆ~まりしゃおね~しゃんだけじゅるいよ!!まりしゃもしゅーりしゅーり♪」 「れいむもしゅーりしゅり♪」 「ゆぅ~♪みんなあまえんぼうだね!!すーりすーり♪ゆっくりしてね!!」 俺は母れいむや姉妹に頬擦りされながら、この不快なスキンシップ合戦が早く終わってくれないかなと考えていた。 「とってもすっきりしたいわ!!ありすのあいがほしいゆっくりのおうちはここね!!!」 唐突に巣の入口からそんな声がした、振り向くとそこにはギラギラした血走った眼に、だらしなく開いた口から涎を垂らしているゆっくりありすが一匹いた、絶賛発情状態と言ったところか。 体は親まりさと同じくらいの大きさで親れいむより一回りほど大きい、幸いにも俺の姿は親れいむに隠れて見えていないようだ。 「ゆぅ?みたことにゃいゆっくちだね!!ゆっくちちていってね!!」 「おねーしゃんゆっくちちていってね!!」 「ゆぅ~♪とってもとかいはなあかちゃんにかわいいれいむね!!みんなありすがたっぷりすっきりさせてあげるわ!!」 親れいむの影から出てありすにニコニコ笑いながら挨拶をする馬鹿な姉や妹は放っておいて、俺はありすに見つからないように慎重に物陰に身を隠してこっそり様子をうかがう。 親れいむや姉妹のゆっくりがレイプされるのは面白そうだが、ありすにレイプされるのは御免だからね。 「ぷくくぅぅ!!あかちゃんたちおかーさんのうしろにゆっくりかくれてね!!!ゆっくりせずにいそいでね!!」 「ゆぅ?なんでおかーしゃん?」 「おかーしゃん!!ちゅっきりってなに?」 「いいからゆっくりせずにかくれてね!!ありすはゆっくりできないゆっくりなんだよ!!!」 「はぁはぁ…つんでれなのね!!!れいむかわいいわ!!!ありすとすっきりしましょうねぇぇぇぇ!!!!!」 親れいむはありすに対して体を膨らませながら威嚇するが、ありすはまるで動じていないむしろ興奮して親れいむに突撃していった。 親れいむは突撃してきたありすをゆっくりにしては軽やかともいえるステップでかわして、体当たりを仕掛ける。 「ゆぅぅぅ!!!!ゆっくりでてってね!!!!」 「びゅぅ‥つんでれはかわいいよぉぉぉ!!!!でもすなおなほうがかわいいよぉぉぉぉ!!!!!すっきりさせてすなおにしてあげるからねぇぇぇぇ!!!!!!!」 「やめてね!!れいむはありすとすっきりなんてしたくないよ!!!」 親れいむの渾身の体当たりはありすの情欲を燃え上がらせるだけだった、ゆっくり同士の喧嘩において体格や体重は、単純なテクニックやスピードよりも大きなウエイトを占める要素だ。 体格がありすより一回り小さく、素早く動けるが体重の軽い親れいむは喧嘩はからっきし苦手だった。 つまり親れいむに百戦錬磨のレイパーありすを倒すことなど不可能だった。 ありすは少し口から垂れたカスタードを舌で舐めとると、親れいむに圧し掛かって体を小刻みに振動させながら頬ずりをし始めた。 無論親愛の表しているわけでもなんでもない、親れいむをレイプしているのだ。 「ゆぁぁぁ!!!!!れいむのほっぺもっちもちのつるつるだよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」 「ゆ゛ぅぅぅぅ!!!!!!やめて!!!やめて!!!!!ぎもじわるいよ゛」 「おきゃーしゃんいやがっちぇるよ!!ゆっくちやめてね!!」 「ぷくぅぅ!!おきゃーしゃんをいじめるとれいみゅおこりゅよ!!」 体中から甘ったるい匂いのべとべとした液体をまき散らしながら、嫌がる親れいむに体をこすりつけて涎を垂らしながらぶるぶる震えている様は、こう背筋にゾクッと寒気が走る物がある。 人間だったころはありすのレイプをする姿を見て滑稽だと笑ってみていたが、ゆっくりになった身で改めて見ると恐怖と強い生理的な嫌悪感さえ感じる。 「ゆほほほほぉぉぉぉぉぉ!!!!!!れいむきもちいいよ!!!!んほぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!すっきりぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」 「やべでぇぇぇ!!!!!!でいむずっぎりじだくなぁいぃぃ!!!!!!んんんん!!!!!!!ずっぎっりぃぃぃ!!!!!!!!!」 ありすの一方的で激しい愛撫ならぬバイブは、れいむの体力をどんどん奪っていき強制的にすっきりさせ、頭に望まぬ子供を生やすことになった。 親れいむは疲れ切った体から、栄養を頭に生えたありすの子供達に吸収され見る間にやつれていく、ちょっとしたスペクタクルだ。 「ゆぅ…ゆぅぅ‥とってもくるしいよ…ゆぅぅ…まりさぁ…」 「ありすはまだまだすっきりしたりないわ!!!!そこのあかちゃんたちもありすのあいをわけてあげるわ!!!!!!!!」 「ゆぅぅ!!!!ゆっくちやめてね!!!」 「こっちにこないでね!!!!」 親れいむがありすにレイプされるのを震えながら固まって見ていた姉れいむに妹まりさは、自分達をありすが親れいむと同じ目にあわせようとしている事に気づいて必死に逃げようとした。 しかし素早く近づいたありすに圧し掛かられ、二匹仲良く動きを封じられる。 「んほぉぉぉ!!!!ろりっこかわいいよ!!!!!!ありすがはじめてになってあげるよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」 「ゆぇえ…!!くるちいよっ!!ゆっくちどいてね!!!」 「びゅぶ!!!ゆぅ…うぅ~…」 成体のありすに圧し掛かられて、妹まりさも姉れいむも苦しそうだ、特に姉れいむはありすの圧力で口からぼたぼた餡子を吐き出している。 「ゆぅぅぅ!!!!それじゃあいくよぉぉぉ!!!!!!んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 「ぎもぢわりゅいぃぃ!!!!!!おがーしゃんだじゅげでぇっぇぇ!!!!!!」 「びゅえぇ!!ぇぇうぇええ!!!!」 「やめて…あかちゃん‥いじめ…ないでね…」 18禁レベルの顔で奇声を上げながらぶるぶる震えて粘液をまき散らすありす、粘液まみれになって泣きながらもがいている妹まりさに、体を圧迫されて液状になった餡子を吐きながら白眼を向いている姉れいむ。 そして眼の前でありすに犯し殺されそうになっている娘たちを泣きながら見つめている瀕死の親れいむ、苦しむゆっくりを見るのは最高だ俺はこの為に生きてるんだよ。 こいつ等を見ていると、俺の饅頭で出来た体が餡子の中心からほっこり暖かくなってきて、本当に安らかで穏やかな満ち足りた気分になる、あぁ~これがゆっくりするということなのか。 「んほぉぉぉ!!!!れいむもまりさもぎもぢいよぉぉ!!!!すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」 「いやぁぁぁ!!!!ゆっくちできないぃぃ!!!!!ちゅっぎり!!!!!!」 「ぎゅえ!!!…えぇ!!…ぇぇ」 ありすは姉れいむと妹まりさですっきりすると二匹からどいた。 「ゆっくち…ちた‥かった‥よ…」 ありすの退いた後には真っ黒く干からびた姉れいむと、口とありすの圧力で底部が裂けて出来た傷口から餡子を流して絶命した妹まりさしか残っていなかった。 「ゆっくりきもちよかったわ!!ありすはせかいじゅうのゆっくりをすっきりさせてあげなきゃいけないからもういくね!!ありすのあかちゃんをゆっくりしたこにそだててあげてね!!」 ありすは満足そうな顔でそういうと巣の外に出て行った。 清々しいほどのヤリ捨てだな、まぁ頑張ってゆっくり達に可愛い赤ちゃんを授けまくってくれ、応援してるぜ。 「ゆぅぅ…あかちゃん…れいむのあかちゃん…」 親れいむは黒く干からびてしまった姉れいむと妹れいむの死骸の傍に、這って行こうとしてはいるようだが頭の茎に栄養を吸い取られているのでそれも叶わない。 茎に実った四匹の赤ちゃんゆっくりは全員ありすだが目を覚まして体を揺らし始めている、レイプ型出産のゆっくりありすは茎に実った赤ちゃんの成長が早い、そろそろ生まれてくるのだろう。 さてこの親れいむは絶望しきって泣いているが、俺が実の娘がまだ生きていることを知ったらどんなに喜ぶだろうか?やっぱり俺を産んでくれた大事な母親だ、親孝行してやろう。 俺は物陰から飛び出て親れいむに駆け寄ってやる。 「お母さん大丈夫?」 「ゆぅ!?まりさ!!まりさいきてたんだね!!!ゆぅぅ…しんでいったあかちゃんと‥おかあさんのぶんまでゆっくりしてね!!!!!」 親れいむは大粒の涙を流しながら体を震わせている、よほど死ぬ前に俺の生存が確認できたことがうれしかったようだ。 さて感激と安堵の涙を流している親れいむの頭の上の種違いの我が姉妹、ありす達は親れいむの感激の涙とともに茎から落ちた。 「ゆぅぅぅ!ゆっくちちていってね!!」 「ときゃいはなありしゅだよ!おかーしゃんゆっくちちてね!!」 「おねーしゃんゆっくちちてね!!」 「おかーしゃんゆっくちちてるね!!」 地面に落ちるなり俺と母親に挨拶をする妹ありす達、なかなか元気で礼儀の良い子たちじゃないか。 しかし、そんな素直な姉妹達を親れいむは嫌悪と侮蔑に満ちた目で睨みつけていたが、憔悴しきって死相の浮かんだ顔にふと暗い笑みを浮かべて俺を見るとこんなことを言ってきた。 「ゆぅ‥れいむ…ありすはみんな…ゆっくりできないこだよ…だからありすをつぶして…おかあさんに…む~しゃむしゃさせてね」 なるほどありすに奪われた体力はありすで回復しようということか、優しくて純情な赤ちゃんまりさにそんなことを頼むなんて悪い親だな、 第一それだけ衰弱してちゃ赤ありすの四匹食ったとしても、助かる可能性は二~三割だ、それなら普通は子供を助けるよな。 「ゆぅ?む~ちゃむちゃってなに?」 「ぷきゅぅ~!ありちゅはゆっくちしたこだよ!!」 「おかーしゃんおにゃかへったよ!!」 「ここはときゃいはなおうちね!!ゆっくちちゅるよ!!」 「まりさ…ゆっくりしないで…ゆぅぅ…はやくありすたちをつぶしてね」 母れいむは心底この可愛い四姉妹を嫌っているようだ、頭に生えた茎をこの四匹に与えることは絶対にないだろう、それならこの姉妹は何を食べればいいんだ? 硬いものは親が柔らかく噛み砕いたものでなければ食べられないし、目の前の親れいむは息も絶え絶え、親まりさはいつ帰ってくるかもわからない その間この可愛い妹達にお腹を空かせたまま、死んだ親れいむと寂しく過ごせというのか?姉として俺はそんな事は出来ないな。 この姉妹達は確実に親れいむに愛されていない、帰ってきた親まりさに愛してもらえるかどうかは分からないが、この世に生まれおちた瞬間を祝福されず喜ばれない、それはどれほど辛いことだろうか? その上にこの子達はお腹を空かせているのだ、心はともかく、せめてお腹だけでも満たしてやろうじゃないか。 俺は覚悟を決めると親れいむの前に立ち姉妹達に向かって、おもてなしの真心をこめてある宣言をする。 「さぁ、お食べなさい!!」 次の瞬間俺の体は二つに裂けた、不思議と痛みはなくポカポカと体が温かい。 何故唐突に俺の体が二つに裂けたかというと、妹ありす達に向かって、お食べなさい宣言をしたからだ。 お食べなさい宣言とは、ゆっくりが自らの意志で心から相手に食べてほしいと思った時に言うことで自ら命を絶ち、相手に自分を食べてゆっくりしてもらうための行為だ。 無論自己中心的なゆっくりがこの行動をとることは殆ど無く、老いて死期を迎えた飼いゆっくりや、本当に稀にだが越冬中に子供や連れ合いに自らの体を食べさせるためなど、 本当に稀にしかこの行動は起こらない、しかしその分、さぁ、お食べなさいをされてそのゆっくりを食べないことはそのゆっくりに対する最大級の侮辱となるのだ。 「ゆぅ!!!おねーしゃんがふたちゅになったよ!!ありちゅはいただきまちゅちゅるよ!」 「おねーしゃんゆっくちちたんだね!!ありしゅもゆっくちいきるよ!!」 「おたべなしゃいされたらゆっくちいただきましゅするよ!!」 「ありちゅはゆっくちおねーちゃんをたべりゅよ!!!おねーちゃん!!ゆっくちちてね!!!」 妹ありす達は俺の死に目元を潤ませながらも、自分達のために死ぬことを選んだ優しいお姉ちゃんの尊い志を汚さぬように、俺に感謝して俺の皮や餡子を食べ始めた。 まぁ、たった3日しか生きていない身だが、なかなか楽しい饅生を送れた、せいぜい味わってゆっくり食べてくれ。 「ゆゆゆゆゆゆ!!!!!????あかちゃんなにしてるのぉぉぉぉ!!!!!!!!ゆうぇぇぇぇ!!!!ゆっ~あぁぁぁっぁぁっぁああ!!!!!!!!!」 俺の後ろにいる親れいむは絶望の叫び声をあげている、背中に生温かいものがかかるこれは多分液状の餡子だ。 自分の可愛い赤ちゃんが、自ら進んでありすとの間に出来た忌わしい子共達に食われているのだ、そりゃ餡子も吐きたくなるだろうな。 最後に残ったたった一つの希望、まりさとの間に生まれた可愛い子供がゆっくり生きて大きくなる、 そんなささやかな希望さえ打ち砕かれて、口から餡子を吐きながら慟哭する、そんな死ぬ間際の親れいむの顔が見れないのが残念だ。 「むーちゃむちゃ!!とってもゆっくちできるあじだよ!!」 「まりしゃおねーしゃんゆっくちありがとね!!!」 「ありちゅはおねーちゃんをたべて!!ゆっくちちたとかいひゃになるよ!!」 「おねーちゃんはゆっくちできるよ!!ありちゅはきっととかいひゃになるからゆっくちあんちんちてね!!」 さて俺の妹達はというと、目からぽろぽろ涙を流しながらも、ゆっくり俺の餡子を飲み込んでいる。 餡子が減ってきたせいか、眼が霞んで眠気がゆっくり襲ってくる、俺はどうやら本当にこれから死ぬようだ。 それにしてもお食べなさいで死ぬのはこんなにも満ち足りた死なのか、痛みもなくただ温まった体にゆっくりと眠気が降りてきてまるで縁側で日向ぼっこをしながらまどろんでいるような気分だ。 短かったがなかなか楽しい饅生だった、しかし少しだけ心残りがある親まりさの事だ、俺は親まりさが家に帰ってきてこの光景を目の当たりにする所を見る事が出来ないのが悔しい。 家に帰ると番いと可愛いわが子達の苦悶に満ちた形相の死体を見つけるだろう、勿論家族を殺した憎いありすの子供たちも見つける。 どれ程親まりさは苦しむだろう?悲しむだろう? そして何より親まりさは妹ありす達をどうするんだろうか、怒りにまかせて踏みつぶすのか敵の子共とはいえれいむの赤ちゃんでもあると育てるのだろうか? 俺達の死体と妹ありす達を見ながら、苦しみ葛藤する親まりさを死にゆく俺はじっくり観察できないのが実に心残りだ。 さて、本当に俺は死ぬようだ、俺の記念すべきゆっくりとしての饅生一回目が終わる、かなり不純な動機とはいえ俺はこの身を妹達に食べさせた。 つまり自己犠牲の精神でゆっくりを助けたのだ、これであの閻魔様も俺の地獄行きを考え直してくれるといいんだが。 まぁ、今はそんなこと考えても意味はない、せいぜい後二回あるらしいゆっくりとしての生を虐待ゆっくりとして楽しむとするか。 俺は瞼を静かに閉じ、妹ありす達のしあわせ~の声を聞きながら意識を手放した。 「むーしゃ!!むーしゃ!!しあわせー!!」 俺が目を覚ますと、俺の下で砂糖を舐めているゆっくりれいむがいた。 死んだらすぐにゆっくりに転生するのか、なかなか面白いな。 どうやら今度の俺の体はゆっくりれいむらしい、また普通種か…やっぱりゆふらんとかきめぇ丸に生まれたかったんだが仕方ないな。 それにしてもここは台所の様だ、こいつは飼いゆっくりだったのだろうか? しかしそれにしては体が薄汚れている、嫌な予感がする。 「おい、何してるんだ貴様?」 俺の目の前に眉間に青筋の浮いた強面お兄さんがいる、明らかに怒っている。 「ゆゆ!!おにいさんここはれいむのゆっくりプレイスだよ!!!ゆっくりしていってね!!!」 お母様目の前の素敵なパンチパーマの御人を挑発なさるのは止めていただけないでしょうか? 「おうおうおう!!!!人の家荒らしといてなんじゃそりゃ!!!虐待じゃぁぁ!!!!!!!」 こっちにこないでくれ!!!!助けて愛でお兄さん!!!! BYゆっくりな人 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5114.html
「色仕掛けゆっくり1」の続きです。 うんうん描写とにかく多し。苦手な人は閲覧をお勧めしません。 1回のすっきりで相手の唯一の興味の対象となる。(この状態でも他のゆっくりとの交流は普通に行う) 2〜3回のすっきりで相手はありすとだけの生活を望むようになる(この状態では、他のゆっくりと交流するのを避け始める) 4〜7回のすっきりで相手はほぼ全ての命令を聞くようになる。(ただし、目の前の他のゆっくりや、自分を殺すような命令は拒否する) 8回以上のすっきりで相手は確実に命令通りに行動をするになる。 ※まりさ、れいむ、ありす種に対するすっきりの場合 ※個体差はあるが、まりさ種に対しての方が若干強い効力が出る ※以上のデータはすりすり型のすっきりの場合であり、ぺにまむ型の場合はさらに少ない回数で効力が現れる ※すっきりの最中、軽いすりすりの段階ですでに効果は出始める ※効力は累積し、1週間程度は同じ状態が続く … 加工所への報告を纏めながらも、俺は困惑していた。 あの一件以来、加工所から送られてきた「色仕掛けありす」は俺の言うことを前より素直に聞くようになっていた。 ありすのお相手となったゆっくりは基本的に処分していたので、ありすは何匹ものゆっくりとカップルになったが、 どのお相手とも深い関係になることはなかった。さらには、相手が自分の特殊な体質によって惚れている、という事実も変わらなかった。 それでもすっきりには不自由しないし、食事も満足に食べられる。傍目に見ればすごくゆっくりとしたゆっくりだった。 ありすもそれが分かっているのだろう。 高いプライドからお相手が見つからず、餌も一人で集めなければならない野生の頃よりは明らかにゆっくりできていた。 餡子脳ではそれ以上の事は考えないようにしていた。 そんな事はどうでもよく、俺は困惑していた。 虐待に使えると思ってこの変わったありすのモニターを引き受けたが、マンネリ化は否めなかった。 どんなゆっくりでもこのありすが命令を下せば自ら命を絶った。 ゲスまりさを見つけた時は絶食させて殺してみたりした。紙やすりに自分からすーりすーりをさせたこともあった。 しかし、満たされない。 明らかにこのありすの能力はゲームバランスを崩している。 一種のゲーム。いかに恐怖・絶望を与え、自分のゆん生を後悔させてやるかを考えるのが虐待だ。 時には自滅させるのに綿密な計画を立てることも必要だろう。しかし、その上でやり遂げた虐待には何物にも代えがたい快感がある。 それをこのありすはすっきり数回だけで達成してしまう。 それに、終始ありすにメロメロなゆっくりが幸せそうなのも虐待の意欲を無くさせる。 実際にその餡子は凡庸な味で、適切な方法で得られた餡子の極上の甘味には到底及ばない。 こんな時には散歩に出よう。良い考えが浮かぶかもしれない。 外は既に暗くなっていたが、足は自然と森の方へと向かっていた。ゆっくりが多く棲んでいる近所の森だ。 単純に静かで好きな場所でもあるのだが、やっぱりゆっくりを捕らえにここに入ることが多い。 そういえば、ありすが送られてきてから、こうして自分の足でゆっくりを見つけてくることも少なくなったと思う。 「ゆっゆー♪にんげんさん、とおりたいならつうこうりょうちょうだいね!」 「あまあまちょうだいね!」 「「「ちょうりゃいね!」」」 「こどもたちにもしっかりあげてね!」 考えごとをしながら歩いていると、ゆっくりの家族に出くわした。 れいむとまりさのカップルに、子ゆっくり3匹、赤ゆっくり5匹。なかなかの大所帯だ。すぐ後ろには多分こいつらの巣であろう穴ぐらがある。 普段ならばこの家族を家に連れて帰って楽しむところなのだが… そうだ!おれはとある考えを閃いた。 とりあえずバッグの中から出した溶けかけのチョコレートをやり、近くの木に印を付けておく。馴染みの森なので大体の場所は分かるが一応、だ。 ゆっくり家族に「また来るね」と告げた後、期待に胸を躍らせながら家路についた。 一方こちらはゆっくり家族。 「ばかなにんげんさんのおかげでゆっくりできるね!」 「あしたもくるから、しばらくえさにはこまらないね!」 「ゆ!きっとれいむのいもうとたちのかわいさにむちゅうなんだね!」 「「ゆっきゅりー!!」」 親れいむは安心していた。先ほどの人間は素直に餌をくれるから、これからは餌をとりに行かなくても良さそうだ。 本当に馬鹿な人間だ。通行料を求めただけなのに、餌だけやってすぐさま引き返していった。 まあ、それで自分たちがゆっくりできているのだから文句はない。 餌の心配がなくなったところで、れいむはまりさにスキンシップをはかり始めた。 このカップル、暇さえあればこうしてすりすりをしている。だからこそ今の大家族があるのだが、その無計画性で死なせてしまった子供も数多い。 本当に浅はかだった。人間がすぐ明日にやってくるかは分からないのに、もう自分たちの幸せは約束されたと思い込んでいる。 「すーり♪すーり♪」 「ゆゆっ!?れいむ、あかちゃんふえちゃうよ!?」 「ごはんはにんげんさんがもってきてくれるから、あんしんだよ!」 「れいむ、そうだね!すーり♪すーり♪」 「すーりすーり、ゆっ…ゆっ…ゆっ…」 発情し出す2匹。 「「すっきりー!!!」」 すっきりを終え、まりさの頭には一本の茎が生え始めていた。 一般的に、植物型にんっしんっ!をするのはれいむの方だが、この家族ではいつもまりさであった。 きっとれいむが積極的にすっきりをしようとしていることが関係しているのだろう。 れいむはとにかく幸せだった。大好きなまりさといつでもすりすりできる。家族にも恵まれている。 本当にゆっくりとした気分で眠りについた。 次の朝、穴の外で何かの声がしたので目が覚めた。もっとゆっくり寝ていたいのに…と思ったが、それが昨日の人間だと分かるとすぐに飛び起きた。 「ゆっ!にんげんさんごはんちょうだいね!ごはんおいたらさっさとどっかにいってね!」 赤ん坊はまだ寝ているし、自分ももっと寝たい。だからこの人間は食事を自分たちにくれたら、すぐにここを立ち去るべきなのだ。 ところが男の行動はれいむの予想を遥かに上回るものだった。 「ゆ゛うううう!やめてね!!」 男はおたまを長くしたようなものを使って、巣の奥からどんどん自分の家族をかき出していく。 ごろごろと転がった先には箱があり、次々と家族はその中に収められていった。 れいむはそのゆっくりできない棒に噛みついたが、一緒に箱の中に引きずりこまれるだけだった。そして、箱が閉じられた。中は闇。 「ゆぅ…おきゃーしゃん、ここどこ?」 「れいむ、なんだかゆっくりできないよ!」 「みんな!きのうのじじいがうらぎったんだよ!!」 次々と起き出す中の家族。彼女らにれいむは状況を説明した。 今まで人間に捕まえられたゆっくりの話は聞いていた。自分の棲む森でも、何匹かそういった事件に遭ったゆっくりを知っている。 しかし、まさか自分たちがそんなことになるとは…ゆっくりできていたのに… 家族は皆、騒ぎ始めた。騒げばこの男が出してくれると思った。 中にはおうたを歌い出す子ゆっくりもいた。人間さんがゆっくりしてくれれば、きっと出してくれるだろう、そんな考えだった。 れいむは必死に子供の可愛さ、いかに自分がゆっくりしていたかを訴えた。そうすれば感嘆した男が逃がしてくれると思った。 ふと男が立ち止まる。そして、箱が開けられた。 「ゆっ!そとにでられるよ!ゆっくりできないじじいはゆっくりしね!」 少し文句を言うタイミングはおかしかった気がするが、これで自分たちは人間の手から離れたと確信した。 箱がひっくり返され、ぼとぼとと落とされる家族、親まりさだけは頭に茎が生えているのもあって、男の手によってゆっくりと地面に置かれた。 これでもう自由の身だ。逃げよう。そう思って前に跳ね始めるれいむ。 べちん!と音を立てて、れいむは地面にへたりこんだ。 聞いたことがある、人間が使うというゆっくりできない箱だ。 外が見えるのに、なぜか出られないという素敵に悪趣味な箱なのだと聞いていた。見ればここは既に男の家の中だ。 家族の気分は沈んでいた。もう文句も言う元気も残っていなかった。 そんな家族を尻目に、れいむはひたすら男への罵倒を続けていた。それも男が居なくなると止んだ。 男はしばらくすると帰って来た。 「ゆ!れいむたちをだす気になったね!はやくだしたらこのおうちからでてってね!」 れいむは運ばれる途中で傷ついた子供たちをぺーろぺーろするのを止めて、男に抗議した。 しかし、それは聞き遂げられず、代わりにもう一つの透明な箱がれいむの家族たちの箱の隣に置かれた。 両方の箱には小さな穴が開いており、ぴったりその穴が合わせるように箱は配置された。 中にいたのはありすだった。まりさに夢中のれいむも、一瞬心を奪われるほどに綺麗なありすだった。 整えられた髪、状態の良いすべすべの肌。 お相手のまりさもありすに見とれているのに気づき、れいむはまりさをちょっと小突いた。 「君たちはこれからゆっくり虐めてあげるからね!」 そう男は二つのケースに向かって言い放ち、赤れいむを2匹、箱の中から取り上げた。 「ゆー!おしょらをとんでりゅみちゃい!!」 「やべでね!!あかちゃんにひどいことしないでね!!」 「あかちゃん!はやくにげてね!!」 呑気にはしゃぐ子供たち。れいむは分かっていた。この男は手始めに自分の赤ちゃんに何かするつもりだ。 男は何やら糸とそれを結びつけた針を取り出すと、針を赤れいむ達に突き刺した。 「ぴぎぃ!」 「ゆ゛っ!ゆ゛っ!」 男は赤れいむが針の痛みで痙攣している間に、赤れいむ達の中を通っている糸で手早く輪っかを作った。 赤ゆっくりのアクセサリーと言ったところか。 「かわいいでしょ?ほら、二つ揃ってさくらんぼみたいだね!」 「れいむのあかちゃんにひどいことしないでね!」 男はそのまま2匹のれいむをゆっくり引き離していく。 どんどん糸が赤れいむの肌に食い込んでいく。 「ひっ…ひっ…ひっ…かはっ!!」 形を歪められて満足に息を吸うことのできない赤れいむが呻きだすが、それもすぐに聞こえなくなった。 食い込んだ糸が赤れいむの口まで達したのだ。 後は「こぉ…こぉ…」と息を漏らすだけの不思議饅頭となった。 男は糸を取り外し、それを箱に戻した。 「あかちゃん…ゆっくりしていってね…」 「あがぢゃん…へんじしてよおお!!」 「こぉ…こぉ…こひゅ…」 赤ゆっくりが息をしなくなったのを見届け、満足した顔で男は部屋を後にした。 「ゆ…きをおとさねいでね…のこりのあかちゃんをまもってあげてね」 「ゆっ!うるさいよ!ひとりみのありすはゆっくりだまってね!」 「ゆぅ…」 「ぷんぷん!ありすはひとりっきりだから、まりさとれいむのつらさがわからないんだね!」 悲観に暮れるれいむとまりさに穴から話しかけるありす。 れいむは余計な御世話だと思った。子供を失って悲しまないことがあろうか。 一方で、一理あるとも思った。赤ちゃんは死んでしまったが、まだ子供は6匹もいる。 それに、まりさの頭に生えた茎には既に5匹の赤ちゃんが生っていた。 たかが2匹だ、とまでは思わなかったが、まだまだ十分ゆっくりできる、と考え、残りの子供たちとゆっくりしようと思った。 そんなこんなでれいむが子供達におうたを歌っていると、男が入ってきた。 「れいむのこどもにひどいことしないでね!ぷくぅー!」 「食事を持ってきただけなんだけど」 「ゆっ!ごはんならゆっくりしないでちょうだいね!」 男はボウルから生ゴミをオタマですくいとり、箱に流し入れた。 「「「うわぁぁん!くちゃいよー!!!」」」 「「おかーさんゆっくりできなぃいいいぃい!!」」 一気に騒がしくなる家族。 ありすの箱にも生ゴミが入れられたが、それは1匹分だからか、そこまで多くなかった。 対して、れいむの家族の箱は、生ゴミが地面のほとんど占めるほどの悲惨な状況だった。 生ゴミを食べることはもちろん、生ゴミにあんよが浸かっていたらゆっくりできるわけがない。 家族は寄り集まり、隅の方でブルブルと震えていた。 れいむも頭の上に赤ちゃん3匹をのせて避難させていた。 既に男は部屋から消えていて、その日は生ゴミの悪臭に耐えながら一晩を過ごすこととなった。 次の日、男は朝から現れず、夜になると部屋に現われた。 「ご飯食べないのかい?お腹すいているだろう?」 「おにーさんがこんなくさいものいれるからでしょおおおおお!!!」 ため息をついて男は部屋を出ていった。 確かに限界だ。このまま餓死するわけにもいかない。 れいむは生ゴミに口をつけ始めた。 「おかーしゃん!きちゃないよ!?」 「たべなきゃゆっくりできなくなるよ…」 嫌がる子供にも、生ゴミの中から危険そうなものを除いて与えた。 刺激物などは赤ゆっくりにとって命取りとなる。そこで、いったんれいむが口に含み、それを口移しで赤ゆっくりに食べさせた。 それを見て、子ゆっくりやまりさも生ゴミを食べ始めた。 さらには隣の箱のありすまでも生ゴミを漁り始めた。 こうして食事の時間を終え、とりあえず腹を満たしたところでゆっくり達は眠りについた。 ガサガサ… 夜中に音がした。なんだろうか、とれいむは思ったが、すぐに眠りに落ちていった。 次の日、いつもと変わらない朝を迎えた。 しかし、様子がおかしかったのはお相手のまりさだった。 明らかにそわそわしている。そして、ずっと隣の箱のありすを見つめている。 焦点の合っていない目でぼーっとありすを見つめるまりさに、れいむは不気味さすら感じた。 「まりさ、どうしたの?」 「れれ、れいむ、起きたんだねっ!ゆーゆっくりしていってねっ!」 明らかに態度がいつもと違っていたが、とくに気にすることもなかった。というよりも気にすることができなくなった。 「ぽんぽんがいちゃいよー!!」 「れいむのぽんぽんがゆっくりできてないよ!」 子供たちが腹痛を訴え始めたのだ。うんうんの兆候である。 普通にゆっくり達が生活している分には滅多にうんうんをしない。 中にはうんうんに一種の快感を覚え、食事のたびに排泄するゆっくりもいるようだが、れいむ達はそうではなかった。 ただ、昨日のように汚い食物を一気に体内に取り入れたときは別である。 そもそもは、餡子の中から害になる成分を抽出してうんうんとして外に排泄するのである。 生ゴミをたくさん食べたので、すぐにでも排泄する必要が出てきたのだろう。 「あかちゃん!ゆっくりがまんしてね!」 「まりちゃはもうがまんできないよ!うんうんでりゅよ!」 「ゆぎっ…ゆぎっ…れいむもでるよ…」 いくら言い聞かせても体の生理的な欲求には逆らえない。次々とうんうんを出していく子供達。 あっという間にうんうんが床に並ぶ。そして… 「ゆぅ…くちゃいよー!!」 折角生ゴミをあらかた食べ終えて綺麗になった箱の中が再び臭くなってしまった。 生ゴミの中からゆっくりできない成分を寄せ集めて排出したものだから、ゆっくりにとっては物凄く臭いのである。 「ゆっ!じぶんたちのせいなんだから、こんどこそゆっくりがまんしてね!!」 子供たちを叱りつけて自分も我慢する他はない。 「まりさもがまんしてね…」 お相手のまりさを見て愕然とした。またあのありすの方を見てにへらと笑っているのだ。 まりさの視線の先を見るとありすもうんうんをしている。 何だというのか、こんな時に。ありすなんかに夢中になって。小突くと一旦はこっちを向いたが、 しばらくありすの方が気になって仕方がないようだった。 その日も虐待はなかったが、生ゴミが入れられた。生きるためには食べなければならない。 殺されないだけましだとは思ったが、全然ゆっくりできていなかった。 また明日はうんうん騒動に脅かされるかと思うと、れいむの気分は沈む一方だった。 お相手のまりさが自分に興味がなくなってしまったようにみえるのも、一層れいむを憂鬱にさせた。 ガサガサ… その夜も物音がしたが、れいむは全く気付かなかった。 「ぽんぽんがいちゃいよぉぉぉお!!」 れいむはこの連鎖をどうにかしなければいけないと思った。昨日のうんうんは箱の中に残ったままだ。 相変わらず、というか昨日よりひどい顔でにへらとしているまりさ。正直気持ち悪い。 そこでれいむは思いついた。これで自分の気分も晴れる。 1匹の赤まりさを口加えると、隣の箱との穴へと持っていく。 「むこうにうんうんしてね!」 「ゆっくりわかちゃよ!うーん…うーん…ゆふぅ〜」 穴からありすのいる反対側の箱へとうんうんが流れ込む。 これでこちら側への被害を最小限に抑えられる。れいむは我ながら名案だと思った。 「ゆっくりやめてね!!ありすがかわいそうだよ!!」 まりさだ。なんだってこいつはこんなにもありすの事ばかりなのか。 昔は餌を取るのも上手く、群れでも憧れのゆっくりだった。 群れを離れて、初めてすっきりをした日を今でも忘れない。本当にゆっくりしたまりさだった。 でもそれはもう過去のことだ。れいむの気持ちはまりさから離れかけていた。 まりさを無視して子供を1匹1匹くわえ、ありすの箱にうんうんさせる。 6匹の子供にうんうんさせ終えると、自分も向こう側へうんうんした。 ありすが涙を流すだけで、何も抗議しないのが好都合だ。気の弱いありすだとれいむは思った。 しかし、その考えは間違っていた。 「おかえしにこれをあげるわ!」 ありすは仕返しとばかりにこちらの箱に向かってうんうんをし始めたのだ。 れいむが止める暇もなく、こちら側にカスタードのうんうんが溜まった。止めようにも止める方法がないのだが。 れいむはすぐに激怒したが、よく考えれば1対8である。いや、2対7か。 どっちにしろこれを続ければ量としてはこちら側が有利だ。そう思ってゆっくりすることにした。 ご飯は相変わらず一日一回、生ゴミだったが、生きてさえいればいいと思いはじめていた。 ガサガサ… 次の朝、再び子供達がうんうんをする段になって気づいた。 昨日まであったありすのうんうんが無くなっている。 これは餡子脳で考えてもおかしかった。昨日、寝る前まではあったはずだ。夜の間にあの男が掃除したというのも考えにくい。 なぜ…?? 「おかーさん、ぽんぽんが!!」 子供の叫びで我に返り、ありすの箱へと処理させた。 ありすもこちらに処理をする。 まりさはこちら側でうんうんをしていた。本当にやっていられない。 その夜、れいむは薄目を開けて何が起こるかを観察していた。 あいすのうんうん失踪事件の原因を突き止めたかったのだ。 しばらくすると、視界に何かが入りこんできた。 まりさだった。 そろりそろりと音をたてないようにありすのうんうんに近づいていくが、その表情は異常だった。 目は一点、ありすのうんうんを見つめて、涎を垂らしながら這っていく。 外にいる時に、れいぱー化したありすを見たことがあるが、まるでその姿そのものだった。 れいぱーありすの方がまだマシというものだ。相手はゆっくりなのだから。 「うんうんぅぅぅ…ありずのうんうんぅ…」 うわ言のように呟くまりさ。ありすのうんうんのすぐ傍まで近寄り、そして…頬張る 「うっめ!めっちゃうっめぇぇぇう!」 そんなはずはなかった。生ゴミから作りだされたうんうんなのだ、「おいしい」というのはゆっくりの本能に反する。 それはれいむにも理解できた。 物凄い速度でうんうんを食べ続けるまりさ。はっきり言って嫌悪感しか感じられなかった。 「ありずのう゛んうん、すーりすりー♪」 もう見ていられなかった。 明日になったらまりさに直接言おう、そう思った。きっと分かってくれる。そう思わないとやっていけなかった。 れいむは嫌なことを忘れるように眠りについた。 れいむは気付かなかったが、同じ部屋で、まりさの行動を見てあの男がほくそ笑んでいた。 「まりさ、れいむが眠ったよ。ありすとすっきりできるね」 「!!!!!ありずっ!!!い!!」 「静かに、れいむが起きちゃうよ、さあこっちにおいで」 俺は両方の箱を開けて、まりさとありすを取り出す。 ああ、はあはあしちゃって…そうか、もう4回目か。 一人納得して、俺はありすとまりさを別室に持っていく。 そこで一回だけすっきりを行わせる。 そしてまりさを元の箱に戻した。 「頑張ってるみたいだね、ありす」 「ゆ!ありすがんばってるわよ!でもなまごみはとかいはじゃないわね!」 「そうだな…じゃあそろそろ次の段階に入るか」 全ては俺の計画の一部だった。 ありすを使って1匹のゆっくりを洗脳してもつまらない。 そこで狙うはパートナーだ。家族との信頼関係を崩しながら虐待する。これが俺の狙い。 最後にあの親れいむにはゆっくりに有らざる空虚感を抱いて死んでもらう。 親まりさは既に俺の手の中。しかし、まだまだ序の口。 ターゲットのゆっくりはあと何匹もいる。 そう、次は子供だ。 続く 【あとがき】 なんだか変な話になってしまいました。 自分でも正直これはどうなのか?と思うくらい「うんうん」という言葉を使った気がします。 苦手な方はここまで読んでないと思いますが、一応謝っておきます。すみません。 次回は子供編、になるのかな…?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1133.html
俺は虐待お兄さん。唐突だが、現在老人ホームで働いている。 何故老人ホームかって?親父がそこの院長をやってるのさ。 俺ももういい年だが、職にも就かずにフラフラしていたところ、親父にこっぴどく怒鳴られて手伝いをさせられるってワケだ。 正直この仕事はつまらん。毎日毎日老人達の相手。何人かはボケが入っている。 ああ、つまらん。しかし、ここで投げ出したら今度こそ親父は俺を勘当するだろう。 それは困る。小遣いもらえなくなるからな!!仕方なく、老人達の話し相手になってやっているのだ。 あーはいはい、タケさんその話は四回目だよ。 そんな状況にも楽しみはある。実は、ゆっくりセラピーというものがこの院で行われている。 孤独な老人達を慰めようというアニマルセラピー。その動物の役をゆっくりにやらせるのだ。 ゆっくり饅頭と緩慢な動きの老人。これほど相性が良いものがあるだろうか。 しかも、ゆっくりの餡子脳では長い話は対して覚えられない。同じ話を何度も繰り返す老人、その話が十数回目だということにも気づかないゆっくり。 老人はゆっくり達に癒しを求め、可愛がる。ゆっくり達は老人に可愛がられてゆっくりする。平和な光景だ。 ところで一度に三十匹程度運ばれて来るゆっくり達。彼女達は一ケ月もするといなくなってしまう。当然、俺が虐待してしまうからだ。 行方不明になるゆっくりも数が多いが、馬鹿な饅頭のことだ。外に出た拍子にゆっくりゃに食われでもしているのだろう。 一度親父に随分ゆっくりがいなくなるのが早い、といわれたが、饅頭だし年寄りに食われたんだろ、と言い返すと納得したようだ。 今は物陰にゆっくりを引きずり込んでは虐待する日々を送っている。 今日も三十匹程度のゆっくり達が院にやってきた。 運搬しやすいよう冷却され、仮死状態になっているゆっくり達を、庭の日のあたる場所に並べて待つこと三十分。次々にゆっくり達が目を覚ます。 「ゆ!ここはどこ!?」 「すごくゆっくりできそうなばしょだよ!」 「いまからここをれいむたちのおうちにするよ!」 「しゅるよ!」 目覚めた途端にお家宣言。いつもの事だ。まあ、今回は潰さないでやる、あながち間違ってもいないんだし。 全ての饅頭が動き出したのを確認してから、俺はゆっくり達に近寄った。 「ゆ!おにいさん、ここはれいむたちのおうちだよ!」 「ゆっくりしないではやくでていってね!」 「ゆっきゅりでていっちぇね!!」 「ああ、勿論だとも。ここは君達のお家だよ!実は、とてもゆっくりした人たちが君達と一緒に暮らしたがっているんだ!」 「ゆ、にんげん!?」 「だめだよ!にんげんはゆっくりできないよ!」 「大丈夫!いざとなったられいむやまりさでもやっつけられるような弱い人間だよ!でも、その人たちは君達が大好きなんだ!お菓子もくれるよ!」 「ゆゆっ、おかし!?」 「まりさたちおなかすいたよ!ゆっくりしないでおかしをちょうだいね!!」 「ゆっきゅりちょーだい!」 「じゃあ、君達をあんないするよ!ゆっくりついて来てね!」 ホームの居間に入ると、「ゆっくりしていってね!」の垂れ幕とともに老人達がゆっくり共を出迎える。 「おお、可愛いれいむじゃのお!」 「ゆ、すごくゆっくりしたひとたちだね!とくべつにれいむたちのおうちにいれてあげてもいいよ!」 「まりさや、こっちにおいで!お菓子をあげよう!」 「ゆゆ!おかし、おかし!はやくちょうだい!」 「あらまあ、可愛い赤ちゃんねえ。」 「あたりまえだよ!れいむたちのあかちゃんがかわいくないわけないよ!」 「ゆっきゅりー!!」 初対面は上々のようだ。ゆっくりたちはお菓子に飛びついたり、じいさんばあさんの膝に乗って頭をなでられたり、施設の中を探検に出たりと様々な行動に出る。 ……さて。 四匹で列を作って廊下を跳ねていく、探検に出た子まりさ達。 その最後尾の一匹を鷲掴みにし廊下の陰に隠れる。もちろん、攫ったゆっくりは声を出せないよう口を手で押さえる。 「ゆっ!?まりさがいないよ!?」 「まりさー!どこいったのー?」 「ゆっくりしないででてきてね!!」 「…ゆ!みんなでまりさをさがすよ!!」 「「さがすよ!!」」 そんな声が聞こえる中、俺は子まりさの口を塞ぎながら話しかける。 「おや、他の三匹が君の事を探してくれてるよ?」 「ひょっとして、あの子達は君のお姉さんかな?」 「そうだ!君が死ぬまでにあの三匹が君を見つけてくれたら、生かして帰してあげるね!」 もちろん右手で口を塞ぎ、開いた左手では虐待だ。少しずつ頬をむしりとり、目を潰す。 そうしている間にも手の中のまりさは悲鳴を上げようとするが、そうさせないために口を押さえているのだ。 底部の皮がボコボコと膨れているのは跳ねて逃げようとしているのだろうが、俺に抱きかかえられた状態では意味が無い。 トドメに頭頂部から指を突き刺し、底部に貫通させたところで子まりさは動かなくなった。すっきりー! 俺は子まりさの死骸をトイレに流し、何食わぬ顔で居間に戻った。 それから一週間ほど経ったある日のこと。俺はトイレの個室でカッターを使い、五匹目の獲物であるれいむの顔に格子模様を描いていた。 顔に何本もの縦線、横線が走り、タイルのように見えてくる。その四角く切れた外皮一枚一枚を剥ぎ取っていくのだ。 俺に口をふさがれ、皮を剥がれる度に「んー!」とか「んふー!」とか声を上げるのが最高に笑える。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!!!でい゛ぶう゛う゛ぅ゛ぅ゛!!!」 っ!!? 振り向くと、ドアと床の隙間でゆっくりれいむが白目を剥いて叫んでいる。くそ、見られたか!慌てて手を伸ばし、顔面に指を突き刺して引きずり込む。 「ゆ゛ぶぎゃっ!!!!」 ドアの隙間に擦れて頭から背中までの皮がベロリと剥けるが知ったことではない。そのまま二匹まとめて便座に押し込み、傍にあったブラシで何回も突き刺した後に水で流す。 こうして二匹は下水の彼方へと消えた。脅かしやがって。トイレから出たところで、角を曲がるゆっくりの後ろ姿が見えた。……まさか!? 一瞬振り向いたゆっくりまりさと俺の目が合う。そのゆっくりまりさの目は、やはり恐怖で白目を剥いていた。 口封じに虐待決定。さっきは不完全燃焼だったしな。 が、まりさは俺の腕を間一髪で交わし、ドアの中に転がり込んでいった。くそ、まりさ種の運動能力を馬鹿にしすぎたか…って、ここは。 「このおにいさんはれいむをころしたんだよ!!まりさみてたよ!!」 「そうだよ、れいむもみてたよ!れいむがひっぱられたところからおにいさんがでてきたよ!!」 「おかしいとおもったよ、まりさのこどもがきゅうにいなくなるなんて!」 「やっぱりれいむやまりさがいなくなったのはおにいさんのせいだったんだね!!」 「「「「ゆっくりできないおにいさんはゆっくりしね!!」」」」 数が揃うと強気になるのか、居間の中には口々に言いたい放題な饅頭。 そのすぐ近くには突然の事態に呆気に取られているじいさんばあさん。ったく、面倒なことになった。 「ゆ、こんなおにいさんはまりさがふいうちでやっつけるよ!!」 見ると、箪笥の上には一匹のまりさ。いや、不意打ちって。不意打ちを書ける本人が相手に向かって口に出して言っちゃだめだろ。 「まりさのあざやかなふいうちでゆっくりしね!!」 と、一気に天井近くまで飛び上がるゆっくりまりさ。 ばーか、それだけ時間かけてたら俺がポケットからアレを取り出し、スイッチを入れるのには十分だ。 俺が右手に持ったのは加工場製の新製品。カッターほどのグリップから三十センチほど、太さは一握りくらいの杭が飛び出る。そして狙いを定め、空中のまりさに突き刺す! 「ゆ゛ぶっ!!!」 串刺しにしたところで更に手元のスイッチを押す。 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!い゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 そりゃあ痛かろう、スタンガン並みの電流を体の中から流されているんだから。 「ゆ゛あwせdrftgyゆくりlp;@:「」!!!!!!」 一気にスイッチを最大限まで押し込みむと、一際大きな悲鳴とともにゆっくりまりさは動きを止めた。おお、口から煙を吐き出してて笑える。 …と。我に返ると、部屋の中には白目をむき、歯茎を露出してガタガタ震えるゆっくり共と、呆気に取られた顔の老人達。やばい、羽目を外しすぎたか。 「ゆうううううっ!!!おじいさんたすけて!!!」 「おばあさん、あのおにいさんがれいむたちをいじめるよ!!!」 「ゆっくりしないではやくまりさたちをたすけてね!!!」 途端に爺さん達にすがりつくゆっくり共。しまった。 この事件は爺さん達を通じて親父の耳に入るはずだ。一応、このゆっくり共は院の備品扱いになっている。 それを故意に壊したと親父に知れれば、今度こそ家を追い出される…くそ、こうなったら野性に帰ってゆっくりを食べて生きるかな…。 「これっ、だめじゃろうがそんなことしたら!」 くそ、うるさい! 「ワシのズボンがお前の涙で汚れちまうだろうに!」 「ゆ゛びゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!!!?」 てっきり爺さんの叱責が飛んでくると思っていた。が、耳に届いたのは予想だにもしなかったゆっくりの悲鳴。 驚いてそのほうを向くと、爺さんがゆっくりを左右から引き裂いていた。だが。 「ゆ゛…ぶ……」 そのゆっくりは生きていた。 ゆっくりの頬を両側から掴んで引き裂くことなら誰でも出来る。引き裂くだけならばだ。勿論ゆっくりは死ぬ。 しかし、爺さんに引き裂かれたゆっくりはなお生きていた。皮は破れ、目玉は落ちかかっている。しかし、中身の餡子は形を崩していないのだ。 横方向に三倍ほど伸びたゆっくりれいむ。その外皮が破れ、餡子が崩れないギリギリの力加減。そして餡子が崩れていないので死ぬことが出来ないゆっくりれいむ。 なんだ?俺は何を見ているんだ? 「ゆ゛っ゛ぐり゛っ゛!!!」 再び上がる悲鳴。そちらの方を見ると、今度は爺さんが顔の無いゆっくりと顔だけのゆっくりを両手に持っていた。 顔の無いゆっくりは、顔面に大きな空洞が開いている。一方、餡子の塊に顔部分の外皮をくっ付けただけのゆっくりはそれを見て、 「ま゛り゛ざの゛がら゛だがあ゛あ゛あ゛!!!」 と叫んでいる。一瞬遅れて理解した、この爺さんはゆっくりの顔だけを抉り出したのだ。 こちらも生命活動に必要な餡子は傷ついていないので、ゆっくりまりさが死ぬことは無い。人間で言えば、皮膚を全部剥がされたようなものだろう。 あちこちでそんな光景が広がっていた。ゆっくりを虐待しながら、死の一歩手前で生かしておく。そんな光景が。 今度は俺とゆっくり共が呆気にとられる番だった。 「まさか院長の息子さんも、ワシらと同じだったとはのう!」 「これでワシ等も物陰に隠れてこそこそ虐待する必要もなくなるぞい!」 「へぇへぇへぇ、わざわざゆっくりセラピーをやっとる所を探した甲斐があったわい!」 言いながら、じいさんばあさんはゆっくり達を死の一歩手前で弄んでいる。その手つきは大胆に、そして繊細にゆっくり達の外皮を剥ぎ、餡子を取り出していく。 まさか…、まさか、このじいさん達は……!! 「「「ひゃああ!!虐待じゃあああ!!!」」」 その後、俺はこれまでと打って変わって仕事に打ち込んだ。虐待おじいさん達の思いつく遊びは、どれも斬新なものだった。さすがは年の功。 今日も爺さん、婆さん達が飯を食べ終わると、恒例のレクリエーションの時間だ。 「ゆ゛ぎゅう゛う゛う゛う゛う゛!!!でい゛ぶの゛かわ゛ぎらな゛いでえ゛え゛ぇ゛ぇ゛!!!!」 向こうでりんごの皮のようにゆっくりの皮をナイフで剥いているのは元コックのシゲさん。彼が剥いた二メートル近い長さの外皮は居間に飾ってある。 すでにゆっくりの皮は先端がシゲさんの足元に到達しているが、まだれいむの皮は上半分以上残っている。今日は記録を更新できるかもしれない。 「や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛!!!!」 「ゆ゛っぐりでぎな゛い゛い゛ぃ゛!!!!」 すぐそこの壁ではタケさんとマツさんがゆっくりを壁に押し付けながら歩いている。これはゆっくりを壁で擦りながら、より長く生かした方が勝つという摩り下ろしゆっくりだ。 壁にはすでに二十メートル近い餡子の跡が残り、ゆっくりれいむもゆっくりまりさも上半分しか残っていない。 「はっはっは、マツさんのまりさもしぶといのお!」 「タケさんのれいむもまだ死なんのかい!今日のは生きがええのお!」 「「い゛だい゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛!!!!!」」 二人の勝負はまだ続きそうだ。 「しゅごい!おそらがちかいにぇ!」 「おじいざん゛ゆ゛っぐり゛やめ゛でね゛!!おぢびじゃん゛だぢをはな゛じでね゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛!!!」 あっちの木の下ではヨシさんがゆっくり入れに興じている。木の枝の上に置いた母れいむの口元めがけ、赤れいむを投げてやる。 母れいむに何匹の赤れいむを助けさせてやれるかを競うゲームだ。 「ほうれ、しっかり受け止めてやるんじゃぞー!」 「ゆっ!!おしょらをちょんでるみちゃい!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ぜっだいだずげる゛がらね゛え゛え゛!!!!」 おおっ、あの母れいむはすでに三匹目の赤れいむを口で受け止めた。頬の中には二匹の赤れいむが入っており、必死な母れいむの気も知らずにきゃっきゃと騒いでいる。 ここで母れいむから狙いがそれてしまうと、母れいむが口で受け止めようとしてバランスを崩したり、最悪の場合は赤れいむを助けるために後のことも考えず、空中にダイブしてしまうこともある。 と、言っている間に母れいむは五匹目をキャッチした…が、すでに口元からは赤れいむの上半分が覗いている。 後一匹が限界というところだろう。しかし、トミさんの足元のバケツの中には赤れいむがあと四匹。 「ゆ゛びゅう゛う゛う゛う゛!!!!!!!!」 あ。母れいむの顔面に六匹目が当たり、バランスを崩した母れいむは顔から地面に突っ込んだ。口の中から大量の餡子が噴き出すが、あれは母のものではなくその娘達のものだろう。 しばらく痙攣して目元から涙を流した後、母れいむは動かなくなった。 「ゆ゛びゃあああ!!!!いだいよ゛お゛お゛!!!」 「まりちゃにひどいごどじないでぇぇぇ!!!」 「ーーーーー!!!!ーーーーーーーーーー!!!!!」 「でいぶのぎれいな゛がみのげがあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 一方、室内では虐待おばあさん達がアクセサリーを作っている。当然素材は生きたゆっくりだ。 ハルさんが作っているのはどうやら赤まりさで作る腕輪のようだ。三匹の赤まりさがそれぞれ頬を隣のまりさの頬と糸で縫い付けられている。 不器用かつ自制できない俺では、作業の途中で針で突き殺してしまうだろう。 一方、トメさんは作っているのは大作・ゆっくりポーチだ。素材の母れいむの口にはすでにチャックが縫い付けられ、うーうーうなっている。 そちらのほうは置いておき、トメさんはバリカンで他のゆっくりれいむの髪を刈っている。 この刈り取った髪の毛とチャックつきの母れいむの髪を結って肩掛けにするのだ。目玉の部分をくりぬいて小物入れにしたい、と語るトメさん、ぜひ頑張ってもらいたいものだ。 …と、ここでウメさんがおはぎを持ってきてくれた。 作り方は簡単、子ゆっくりの背中に包丁を入れ縦に切れ目を入れた後、裏返してしまうのだ。外皮は餡子の中に埋まり見た目は完全におはぎ。 これを噛むと、求肥のような歯ごたえがして美味しい。 人数分ありそうだし、ここでおやつの時間としよう。 「おぎゃあじゃん、はや゛ぐれい゛み゛ゅ゛だぢをだじゅげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 「も゛っどつよ゛ぐひっぱっでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「だまっででね゛え゛え゛え゛え゛!!!おがあ゛ざんもがんばっでるんだよお゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 「おみずがはいっでぐるよ゛お゛お゛お゛お゛!!!!おがあざんがゆっぐりしでるせいだあ゛あ゛あ゛!!!!」 「おがあじゃんのばがあ゛あ゛ぁ゛!!やくたたじゅう゛う゛ぅ゛!!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!! 」 院内の庭、溜め池の近くの木には、元大工のゲンさんが作った滑車がつけられている。 池の中心には出られない程度の穴が開いた透明な箱、その中には子ゆっくりが数匹。 箱の上部からはロープが伸び、木の枝に設置された滑車を通って母れいむに結び付けられている。 母れいむがこのロープを引かないと、子れいむたちの入った箱は池に着水。穴から水が入ってきて死んでしまうわけだ。 母れいむはすでにロープを引っ張る力も無くなり始め、近くの草に噛み付き、せめて子供達が池に落ちないようにと支え続ける。 しかしそれが子供達には不満なようで、もっと引っ張れと容赦の無い罵声が飛ぶ。 そんな親子を見ながら、俺は爺さんや婆さんに混じってお茶を飲んでいる。 そうこうしていると、一台のトラックが院の中に入ってきた。おっと、ゆっくりの補充が来たようだな。 「おじいさん、おばあさん!新しいゆっくりが来ましたよ、みんなで迎えにいきましょう!」 「おお、新しいのが来たわい!」 「れいむを三匹ほど譲ってくれんかの、もう少しでポーチが完成するんじゃ…」 もはや泣き喚くゆっくり親子には誰も関心を示さない。俺は足元の石を拾い、かろうじてロープを引く母れいむに向かってブン投げた。 「ゆ゛びゃっ!!!!!」 体の1/3が吹き飛ぶ母れいむ。途端、箱を支える重量が無くなり、子ゆっくりたちの箱は池の真ん中に着水した。 「ゆ゛ーー!!!!おみずがあ゛あ゛あ゛!!!!」 「おみじゅしゃんゆっぎゅりでてっぢぇえええええ!!!!」 水が入ってくるはこの中で暴れまわる子ゆっくり、赤ゆっくり達。 一方母れいむはと言うと、身体に巻きついたロープによって滑車のところまで勢い欲引っ張られ、ぶつかった衝撃で上半分、下半分に体が分断された。 慣性の勢いで二つに分かれた母れいむの身体も溜め池のなかにバシャバシャと落ちる。それを横目で確認すると、俺は爺さん婆さんを促してトラックのほうに歩いていく。 院の年寄りが皆虐待おじいさん、虐待おばあさんと知れてから、俺は親父にゆっくり(を虐める)セラピーの重要さを訴え、ゆっくりの搬入量を以前の二倍に増やしてもらった。 いま、俺と爺さん、婆さんたちの目の前で六十匹近い冷凍ゆっくり達が自然解凍され、あちこちで目を覚ましだす。 全てのゆっくりが目を覚ましたところで、俺たちは満面の笑みでゆっくり達に話しかけるのだ。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 /**** 久々に書いた。ちょっと前までゆっくりさなえの洗脳 群れ崩壊ものを書いていたはずなのに… 群れの状況描写ばかりで虐待も薄く、長ったらしくなって来たので息抜きに書いていたら、こっちのほうが乗ってきた。 ひゃあ!三連休も虐待SSだあ! by町長 /****今までに書いたもの fuku2120 電車.txt fuku2152 大岡裁き.txt このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1384.html
昼。 仕事を終えて家に帰る。 鍵を開けようとしたところ、もう開いていた。 泥棒かと思って中に入れば、ゆっくりがいた。 「ゆっ! おにーさん! ここはまりさたちがみつけたおうちだよ! ゆっくりでていってね!」 「「「でていってね!」」」 数えて四匹のゆっくりまりさがそこにいた。 何をしているかと思えば、食料庫に置いておいた食べ物を全部食われている。 ご丁寧に貴重な胡椒や塩もだ。 しかし、俺はこいつ等を無視して台所へ向かう。 台所も荒らされており、鍋やらヤカンやらが散乱していた。 俺はそれをかき分けて椅子に座る。 そこで近所の子から貰った昼飯の握り飯を頬張った。 「ゆ! なにしてるのおにーさん! はやくでていってね!」 台所にいる俺を見つけて親まりさがぷくっと膨れて怒る。 子供たちも真似するように小さく膨らんだ。 「別にお前達の邪魔をしてないからいいだろう、ここはお前達の家なんだから俺は家具だとでも思えばいいさ」 俺はそう言って飯を食らう。 まりさ達はそれが気に食わない様子だった。 「いいかげんにしてよ! ばかなの? おにーさん!?」 「ばかなの?」 「しぬの?」 非難を浴びるが、俺は冷静に返す。 「ああ、馬鹿だよ」 その言葉に、俺が自分達より格下だと判断したらしくまりさは調子に乗る。 「さすがばかだね! ここがだれのいえかわからないなんて! いきてるかちないんじゃないの!?」 普通、並みの精神の人間だったらここでどうしていただろうか。 間違いなく引きちぎって殺していたに違いない。 「そうかもな」 「ゆふん! ばかなおにーさんはここでのたれじんでね!」 俺をせせら笑ってまりさ達は自分達がいた部屋へ向かった。 飯を食い終えた俺は、取り合えず眠りにつく事にした。 夜。 目が覚めるとゆっくり達がぷるぷると震えていた。 饅頭らしくおしくら饅頭をして暖を取っているようだ。 春になったばかりの夜はとてつもなく寒い。 「ゆうぅ……ここでさむさをしのごうね!」 「あったかいよおかーさん!」 「だいじょうぶだよ!」 「ぬくぬくだよ!」 まりさ達はみんな親を心配させないように言う。 家族愛って奴だろうか。 俺は台所にしまってある毛布を使い、それを服の中に仕込んだ。 そのまま掛けて寝れば、ゆっくり達に奪われるかもしれない。 多少動きづらかったが、晩御飯の準備をした。 今日は鹿のスープだ。 言い忘れていたが俺の職業は狩人で、山の近くで暮らしている。 そんな事はともかく、作業に移る。 調味料は食われていたため、お湯の中に山菜と鹿の茹でた肉が入ったような質素なものとなった。 しかし、それでもうまそうな匂いがするらしく、まりさ達が俺の元へやってくる。 「ばかなおにーさん! それをまりさによこしてね!」 無視。 するともう一度まりさが叫ぶ。 「おにーさん! それをまりさによ・こ・し・て・ね!」 よこせを強調するが、無視。 俺は体当たりされてスープを零されてはたまらないので、一気に飲み干す。 「どうしてくれないの!? なんで? いいかげんしんでよ!」 「俺はお前の家の一部で家具だ、家具はお前のためにご飯を作らないしあげもしない。それにお前はゆっくりだろ、自分で狩りくらいできるだろ」 その言葉にぐっと歯を食いしばるまりさ。 確かにその通りである。 まりさはゆっくりの中では知能があるほうで、狩りは得意なはずだ。 「おかーさん、おなかすいたよ……」 さむそうにしていた子まりさの一匹が親に言う。 親は憎しみの表情を浮かべて俺を睨んだ。 だが、無視。 「まぬけなおにーさんがごはんをくれなくてごめんね! あしたたくさんごはんをとってきてあげるからね!」 子供達は不服そうだったが、やがて親に従った。 (あの様子だと食料庫の中身全部なくなってるわけか) 俺はそう考える。 まりさ達的にはもう春が来ているようで、ご飯を溜め込むなんて事はしなくなる。 食べられるだけ食べる、というのがゆっくりの習性だ。 俺は早めに家を出る事にした。 朝。 俺が目を覚まし居間へ行くと、寒さに震えながらもすやすやと眠っているまりさ達がいた。 起こさないように猟銃を持ってすべての部屋の鍵を閉める。 そして俺は狩りへ向かった。 お昼ほどになって、俺は狩りをやめる。 そして、食料を調達するために里へ向かった。 里は相変わらずにぎやかだった。 そこで俺はあるお店を見つける。 店の名前はゆっくり屋という名前だった。 中に入ってみると、ゆっくりれみりゃがお迎えをする。 「ごんでぢわ! おぎゃぐざまはなんべーざまでづが!?」 鼻にかかる声で人数を聞かれたので俺は一人だと答える。 すると、ゆっくりれみりゃが少しほっとしたような顔をした。 「あ、いらっしゃいませ! こちらへどうぞ!」 後から店員がやってきて、俺を席へ案内する。 メニューを渡されて、俺は目を通してみた。 ゆっくりれみりゃの腕のハンバーグ。 子れみりゃの肉まん。 奇形子れみりゃの踊り食い。 ゆっくりれみりゃの足の丸焼き。 等と書かれていた。 俺はとりあえずハンバーグと肉まんを頼んでみる事にした。 数分経ってから、店員とれみりゃが俺の前にやってくる。 しかし、料理はなかった。 「いまからお客様の前でれみりゃの調理をします、ごゆっくりとお楽しみください。ほら、やれ」 店員が言うと、泣きべそをかいているれみりゃが自分の腕を台の上に置いた。 そして、あろうことが自分の腕を引きちぎったではないか。 「う゛ぐぎぎぎぎぎぎぎ!! い゛だい゛ー! ざぐやー! ざぐぐぇっ!?」 泣き叫ぼうとしたところ、店員に殴られるれみりゃ。 さらに指示されると、自分のもう片方の腕で腕を叩き潰した。 いい感じに余計な肉汁がこぼれる。 店員は満足そうな顔をしてそれを焼いた。 「はい、お待ちどうさまです」 「どうも」 俺はそれをいただく。 餃子の中身を食っているような味がした。 たしかにハンバーグといえばハンバーグだが。 次に用意されたのは踊ってやってきたれみりゃだった。 その上にはぱたぱたと子れみりゃがいる。 「う~☆ れみりゃのこどぼがわいいでそ~?」 俺がああ、と答えると腰に手を当てて尻を振る。 ダンスのつもりなのだろうか。 はたから見れば挑発してるようにしか見えない。 「いまですお客様、尻をはがしてください」 店員が言うので、俺はとっさにれみりゃのスカートを引っ張り、尻を丸出しにする。 別に子供と変わりないような尻だった。 かといって欲情したりしないが。 「う゛~なにするどぉー! れみりゃのぷりでーなおしりっがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 行ってる途中で悲鳴を上げる。 なにせ店員がナイフで尻の皮を切っているからだ。 一定の大きさに切り終えると、今度は親の前で子を叩き潰す。 「う゛ぎゅ!?」 「ぶぎゃっ」 間抜けな悲鳴がしたあと、台の上に肉の塊があった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れ゛み゛り゛ゃのあがぢゃん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」 それを無視して切り取った尻の皮に先程の子れみりゃの残骸をつめ、蒸篭に入れた。 しばらくたって、ほかほかと湯気が立ち上る蒸篭を開けるとなんと肉まんが完成しているではないか。 とても不思議だ。 そして何より吃驚したのがこれだ。 「ぅー ぅー」 小さな声だが、小刻みに震えながら声を出す肉まん。 かろうじて生きていた子れみりゃが再生し始めていたので、こんな風になるらしい。 よくかんで食べれば腹の中で再生することはないらしい。 俺はそれを美味しくいただき、勘定を払って店を出た。 また夜。 返ってくると瀕死のまりさがいた。 やせ細っていて、今にも死にそうである。 一日半食べなければ餓死するのか。 「おに、さん……ごは、ん、ちょうだ、いね……」 弱弱しい声を出すが、俺は無視する。 「このまま、じゃ、まりさたち……しんじゃう、よ……?」 「だから?」 俺は買ってきた物で料理を作る。 匂いに釣られて子供達もやってきた。 「それ、ちょ……だい」 「……」 俺は無視して飯を食う。 まりさたちは血眼になってそれを見ていた。 「お前達は自分で狩りができるんだろ? なら必要ないじゃないか、あと食料庫から食べればいいだろう」 鍵を閉めたのは俺だなんて眠っていたこいつらには分からない。 ただ、部屋から出られず、ただ衰弱していった。 「おかーさん……おなか、すいたよー……」 その言葉にまりさも限界が来たらしい。 歯を食いしばり、俺に飛び掛ってきた。 「えざよごぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 俺は銃を取り出し、飛び掛ってくるまりさの口に突っ込んだ。 「別にいいぞ、黒胡椒の飴を食わせてやってもいい」 黒胡椒の飴、つまり弾丸の事だ。 まぁ胡椒は発火に使うものだが。 「ゆぎぎぎ! よごぜ! よごぜぇ!」 喚くまりさを無視して、俺は飯を食い終える。 そして毛布を服に仕込んで寝た。 最初は、喚きたてるゆっくりがうるさかったが、段々と静かになる。 朝。 起きると、一家は死んでいた。 餓死と凍死だろう。 皆、死への恐怖に目を見開いている。 俺は、一匹を釘で指して壁に張り、ゆっくりが来ないようにする。 さすがに何度も来られては、こっちの身ももたない。 そして残った方は、今日の昼飯となった。 別に殺そうと思えば殺せる。 だが、こいつらのために体力を消耗したり、貴重な弾丸を無駄にしたくはなかった。 ゆっくりなど、所詮閉じ込めてしまえばいずれ死ぬ。 だから、余計な手は加えない。 俺はそう考えている。 居座ったゆっくりなど無視して生活すれば勝手に死ぬのだ。 俺は鹿を狙い打って、今日の晩御飯を手に入れた。 あとがき 皇国の守護者のパロディでもやろうかと思ったけど辞めた。 サーベルタイガーにでも食わせるかな? 新城ォォッ! このアフォが書いた作品 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング1~3? 霊夢のバイト 慧音先生とゆっくり ゆっくりCUBE 書いた猟師:神社バイト このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1199.html
「ゆっくりしてぶっ!」 朝起きると部屋の中にゆっくりがいたので目覚ましを投げつけた。 時計の直撃を顔面に喰らった痛みに、ゆっくりれいむは床を転がり回っている。 「ゆっ、ゆっ、ゆっくりしてげっ!」 ベッドから身を起こし、今度はゆっくりに蹴りを入れる。 死なない程度に加減はしたが、相当の痛みだったのだろう。俺が着替える間中ゆっくりはのたうち回っていた。 「さてと。」 ゆっくりれいむの髪を掴んで俺の目の前にぶら下げる。 「痛いよ!お兄さん痛いよ!ゆっくりぶげっ!」 頬を引っぱたく。あの台詞は聞き飽きた。 「どうやって部屋に入った?」 「ゆっ、ゆっ。」 俺が大げさに右手を振りかざすと、ゆっくりは焦りの色も露わに説明した。 「あそこからゆっくり入ってきたよ!」 ゆっくりが向いた先を見ると、網戸が開いている。こいつらベランダからもやって来るのか。ここ五階だぞ。 こんな事が起こるようでは、もう窓も開けて寝られない。 玄関半開きも駄目、その上部の小窓も駄目。通気の悪い寝苦しい夜を過ごしたら、今度は窓も駄目と申すか。 俺はクーラーとか、文明の利器にべったりなのは嫌いなんだ。まあそろそろ涼しくなる頃だし我慢するか。 そんな事をつらつら考えていると、ゆっくりが話しかけてきた。 「お兄さんここはゆっくり出来ないよ。」 「そうか。」 「れいむはもうおうちに帰るよ。ゆっくり下ろしてね。」 「そうか。」 ゆっくりを掴んだままベランダに出る。雲一つ無い空。今日も暑くなりそうだ。 ベランダの下は道路を挟んで川が流れている。通勤者や通学者が通りを歩いている。 こういう事は人が居ないときにすべき。それがマナーというものだ。部屋に戻って煙草を取ってくる。 ベランダで煙草を吹かすが実に不味い。ゆっくりを掴んだ左手が重いからかもしれない。うろちょろされても目障りだから仕様がない。 ふと視線を眼下の道路から前方に移すと、対岸のマンションにもゆっくりを掴んだ者がいた。そこかしこのベランダに待機した人影がある。 あちらの道路は交通量が多いから、ああやってずっと待っているのだろう。 自分が言うのもなんだが、みんな行儀良くて結構な事だ。こいつもそれぐらいの心掛けがあれば長生き出来たかもしれないな。 「お兄さん。」 「なんだ。」 「ゆっくり下ろしてね。」 「もう少し待ってろ。」 「ゆっくり待ってるよ。でも早くしてね。」 「そうか。」 ゆっくりの相手をするときは適当に受け流すのが一番だ。こいつらとの会話に整合性を求めると病院の世話になりかねない。 しかしなんだってこいつらは、わざわざ人の家に入ってくるのかね。食い物ならその辺のゴミ漁りで十分だろう。 以前そういうゆっくりに質問してみたが、「ゆっくりしたいよ!」とか言うばかりでさっぱり分からん。 煙草の長さが半分になる頃、対岸の道路に一瞬の静寂が訪れた。歩行者もおらず、車も手前の信号で止まっている。 「ゆっくりー!?」 対岸からゆっくりの絶叫が響いてきた。向こうのマンションの、あちこちのベランダからゆっくりが川に投げ込まれている。 投げ出された何十ものゆっくりは、川の水面に叩き付けられ、半数が即死し、残りは何か小さな呻きを漏らしながら、川に流されていった。 中には勢い余って川を越してこちら側にまで届いたゆっくりもいる。道路に餡子が半扇状に飛び散っているが誰が片付けるんだあれ。 「ゆーっ!お空を飛んでるみたい!」 一匹のゆっくりまりさが泣き笑いの表情でコードレスバンジーをしている。 まあ実際に飛んでるわけだが、少し意味が違うかな。現実逃避の邪魔をするのも野暮な話だし、だいたいそんな時間もないわな。 「ぼしょん」という間抜けな音と共にまりさは水面に落ちた。沈み込んで、拉げた顔になって浮き上がってくる。 まりさは薄ら笑った顔でゆらゆらと川下に流されていった。 「お兄さん。」 「なんだ。」 ゆっくりれいむは俺にぶら下げられながらガタガタ震えている。 「なにあれ。」 「なにって、お前等を俺達のおうちから追い出してるんだよ。」 「あれじゃみんな死んじゃうよ?」 「死ぬだろうな。」 「ゆっくりしたいよ?」 「お前等が家に居ると俺達はゆっくり出来ないんだよ。」 「ゆっくり帰してほしいよ?」 「駄目だ。」 「もう来ないよ?」 「お前等は直ぐに忘れて戻ってくるからな。」 「お願いよ?ゆっくり下ろしてね。」 「どうやらこちらも頃合いのようだな。」 ゆっくりれいむの目には涙が溢れている。必死なんだろうが、口が半笑いではいまいち危機感が感じられないな。 煙草をサンダルで揉み消し、ゆっくりを右手に持ち替える。 「ゆっくり帰してね?もう来ないから許してね?」 「直ぐに帰してやるさ。来るとか、来ないとか、もうそういう事を考える必要は無い。」 「お願いね?お願いね?ゆっくりさせてね?ゆっくりさせてね?」 「短い付合いだったな。さよならだ。」 「ゆーっ!?」 俺は大きく振りかぶって、ゆっくりを川目掛けて投げつけた。 「もっとゆっぐりしたかったよおおおおお!」 目算を誤った。少し飛距離が足りなかったらしい。れいむは手前の地面に落ち、餡子を撒き散らして転がり川に飛び込んでいった。 落下角が斜面にうまく合ったようで、即死する程の衝撃は無かったようだ。 もっとも、即死を免れても苦しむ時間が長引くだけだ。惨い事をしてしまったかもしれない。 上階から別のゆっくりがポイポイと降り注ぐ中、俺は流れゆくゆっくりれいむに向かって呟いた。 「悪かったな。次の奴は楽に死ねるようにしてやるから。」 少し遅れて朝食を済ますと、俺は家を出て、会社に向かった。 家の前の道を駅へ向かって歩いていると、そこかしこの窓からゆっくりが放り出されている。 何でこいつ等は懲りずに人間に関わろうとするんだろう。「ゆっくり」は何を意味しているのだろう。 橋を渡りながら水面を見下ろすと、死んだもの、死にきれないもの、沢山のゆっくりが川を流れていた。 水質とか大丈夫なんだろうか。 川岸の水草にひっかかった一匹のゆっくりと目が合った。 そのゆっくりれいむは瀕死の、そのくせ半笑いの表情でこちらをじっと見詰めている。 確信は無いが、さっき投げたゆっくりのようだ。 そいつは暫くこちらを見ていたが、やがて諦めたかのようにゆっくり目を閉じた。 俺は川から視線を外して雲一つ無い空を見上げた。 今日も暑くなりそうだ。 by GTO このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5162.html
[登場人物] 長:片目のゆっくり。千匹を超えるゆっくりの群れの長。黒い。 参謀:パチュリー種。ゆっくりの群れの参謀。太い。 参謀補佐:キメェマル種。ゆっくりの群れの参謀補佐。キモい。 レイム マリサ 群れのゆっくりたち 村長 村人A 村人B 村人たち 語り──罪のあるなしに関わらず、理由にあるなしに関わらず、 人間かゆっくりかその他諸々が、死んだり死なれたり、 殺したり殺されたりするかもしれない。そんな、そういう、 そういったお話。どこにでもあるありふれたお話。 幕が上がる。舞台中央に粗末な箱がおいてある。遠くで鳥の鳴き 交わす声がする。森の近くである。 舞台上手からマリサ種が通りかかる。逆さにした帽子を器用に頭に載 せている。中には木の実や茸などの収穫物。採集の帰りのようだ。鼻歌 をしている様子から、たいそうな成果であったことがうかがえる。 上機嫌のために箱を大して気に留めず、チラリと視線を走らせて、 そのまま舞台袖へと行きかけ……視線を再び箱へと戻す。 首をかしげてしばし見つめるが、また前方へ向き直り帰路につく。 と思いきや、湧き出した好奇心に負け、帽子を置いて箱に走り寄る。 箱を開け、中をのぞき込む。 マリサ──一体これは何なのぜ? ゆぅ? ゆ、ゆゆっ?! マリサ、驚きの声を上げようとして、慌てて口をお下げで押さえる。 キョロキョロと辺りを見回し、舞台袖へと駆けていく。自分の帽子を 置き忘れるほど、気が動転している。 そこへ偶然現れたレイム。二匹は衝突する。 マリサ・レイム──ゆわっ! レイム──な、何、そんなに急いで? 全然ゆっくりしてないよ。 ゆっくりにあるまじき行為だね。 マリサ──(語気を荒らげて、しかし、声を潜めて)そんなことより 大変なのぜ、レイム! レイム──「そんなこと」なんて簡単に片付けないでね! マリサが ゆっくりしてなかったせいで、レイムの玉のようなお肌が 傷物にされるとこだったんだよ。 マリサ──いいから、ちょっと見るのぜ。見るのぜ。 レイム──そんな暇ないよ。れいむはこれからアリスとお忍びデート なんだよ。みんなに秘密のラブラブちゅっちゅ。ゆぷぷっ。 マリサ──既に秘密じゃなくなってるのぜ。とにかく! 見てみるのぜ。 重大事件なのぜっ。(とレイムを箱の方へ引っ張っていく) レイム──重大なはずないよ。レイムとアリスの愛の叙事詩よりもね。 レイム、マリサに促されて渋々と箱の中をのぞき込む。 中のものを認識し、コロンと後ろに倒れる。起き上がって声を上げ ようとする口を、マリサに押さえられる。マリサ、「しーしー」と静粛 を求めるジェスチャー。 レイム──(マリサに口を開放されて)なっ(大きな声だったので、 再び口を押さえられる) マリサ──起こしたら、まずいのぜ。 レイム──な、なんなの、あれ。ゆっくりできるけど、ゆっくりできないよ。 マリサ──マリサたちじゃ判断つかないのぜ。偉い人を呼んでくるのぜ。 レイム──偉い人? マリサ──取締役のゆっくり。誰かいないのぜ? レイム──(遠くを見て、気づく)ゆっ? マリサ──ゆっ? レイム──あっち、見て、マリサ。 マリサ──(指し示す方を向く)ゆっ、あれは。 レイム──間違いないよ。さんっ(呼びかけようとしてマリサに口を 押さえられる。静粛を求めるジェスチャーに、同じ動作を して同意を示す) 二匹──(小さな声で)さんっぼー。 レイムとマリサ、遠くにいる者の反応を見るが、気づくはずもない。 レイム──だめっ。 マリサ──あんな遠くで、こんな小さな声じゃ当たり前のぜ。 レイム──呼びに行こうっ。 二匹、小さな声で「参謀、参謀」と連呼しながら下手へ退場。 後には箱が残される。種々の鳥の声が鳴き交わされている。 上手よりこっそりと顔を出すゆっくりがいる。キメェマル種。群れの 参謀補佐である。 誰もいなくなったのを確認すると、サササッと箱に近寄り、のぞき込む。 参謀補佐──おお。これは、これは。美味しそうですね。 参謀補佐、左右に揺れたり、箱の周りを一回転したりとせわしない。 やがて向こうからの気配を察し、上手へ消える。 入れ替わるように下手からレイム・マリサ・参謀が現れる。 レイム──こっち、こっち。 マリサ──とにかく見てほしいのぜ。 参謀──目上の相手にはちゃんと敬語を使わないといけないわ、マリサ。 せめて「です・ます」を付けないと。 マリサ──とにかく見てほしいんですぜ。 参謀──……まあ、いいけれど。それにしてもさっきから何があったか 説明しないのはよくないわね。 レイム──箱があったんだよ。です。 マリサ──中にすごいものがあったのぜ。ます。 参謀──後で教育が必要ね。言葉の使い方も説明の仕方も。 マリサ──たくさん説明するより一回見た方がいいのぜ。 レイム──びっくりしていってね! 参謀──まったくもったいぶって。そんなに驚くようなことなのかしら。 参謀、箱の中をのぞき込む。そこにあるものを認識し、コロンと後ろ に倒れる。ぶつかりそうになった二匹は慌てて飛び退く。 参謀──な、なにあれ。 マリサ──やっぱり驚いたのぜ。 レイム──びっくりするよねー。 参謀──生きてる、のよね? マリサとレイム、コクコクとうなずく。参謀、箱の中を再びのぞき込む。 じっと見つめて分析。 参謀──血色は悪くない。呼吸も規則的。少し衰弱しているみたいだけど、 概ね健康ね。 レイム──元気? 参謀──どうかしら。(髪の毛で中のそれを突っつく) 火の付いたように赤ん坊の泣き声が響きわたる。三匹、慌てる。 レイム──あ、赤ちゃん泣いちゃったよ! マリサ──ゆっくりと同じなのぜ! うるさいのぜ! 参謀──ど、どうしよう。二人はあやしたりできないの? レイム──ゆっくりの赤ちゃんはしたことあるけど! マリサ──人間の赤ちゃんは無理なのぜ! 赤ん坊の泣き声はますます盛大になる。三匹はあたふたと箱の周りで 右往左往する。 参謀、意を決して箱の中へ顔を向ける。 参謀──(髪の房で顔を隠して)いないいない、バァーっ! 赤ん坊の泣き声、止まる。三匹、固唾を呑んで見守る。 赤ん坊が「ヒッ」と一瞬声を上げるのに、三匹はビクつくが、 その後「キャハハハ」と朗らかに笑う赤ん坊に、安堵の息をつく。 レイム──上手くいったね。 マリサ──上手くいったのぜ。 参謀──良かったわ。 レイム──ゆふふ、笑ってるよ。かわいいね。 レイムが赤ん坊に触れようとすると、「だぅだぅ」とやや怒った様子 の声が。レイム、慌てて離れる。 マリサ──威かくされてるのぜ。 参謀がのぞき込むと「キャハハ」と笑い声が上がる。 レイム──参謀のことが好きみたいだね。 マリサ──懐かれてるのぜ。お母さんだと思われてるのかも。 参謀──あら、そんなこと。 レイム──きっとおっきくて丸っこいママだったんだね! 参謀──(剣呑な雰囲気で)……どういうことかしら。 レイム──(参謀の怒気に気づかず)そのままだよ。ふくよかで、 ぽっちゃりした、存在感のある、ぶっちゃけおデブな お母さんだったんだよ。きっと参謀みたいな……(ようやく 殺気を察知する)ゆ、ゆゆっ?! 参謀──レ~イ~ム~。 レイム──レ、レイム、用事思い出したよ。さ、さ、さよならっ! 参謀──待ちなさいっ。 下手へ逃げるレイムを追いかける参謀。残されたマリサは下手と 箱を交互に見るも、二匹を追って退場していく。 誰もいなくなったのを見計らい、上手から参謀補佐が顔を出す。 入念にキョロキョロと視線を巡らせる。「行ったか?」の声に「はい」 と返事をする。 上手から、参謀補佐と長が登場。箱へと近づく。 長──これがそうか。 参謀補佐──ええ。見てください。 二匹、箱の中をのぞき込む。 「だーだー」と赤ん坊が楽しそうに声を上げる。 長──ふむ、参謀補佐の言った通りだな。 参謀補佐──でしょう。 長──とても美味しそうだ。 参謀補佐──はい。これだけ状態のいいものはありませんよ。 長──人間の赤ん坊を食べる機会などほとんどないからなあ。 まさに僥倖。天に感謝せねばなるまい。 参謀補佐──人間を食べること自体は珍しくはありませんけど、 ほとんどが成人ですからね。 長──肉の臭みや柔らかさを考えた場合、幼年と壮年では雲泥の差がある。 羊肉と同じだな。 参謀補佐──ええ。おお旨い旨い、となること間違い無しです。 長の舌を満足させることができそうで、お呼びしたかいが ありました。 長──口実だろう? 参謀補佐──え? 長──俺の舌を満足させるというのはさ。 参謀補佐──いやあ、まさかそんな…………やっぱりバレましたか。 長──そんな殊勝なキャラだったら、参謀補佐には据えてないさ。 常に薄汚い策謀を巡らしてくれないとな。そう、例えば、参謀に ごちそうを横取りされないように、より上の立場の黒ん坊を巻き 込むとかな。 参謀補佐──いやははは、参謀は見てのとおり、色気より食い気です からね。二人で山分けすると指先一本ほどしかもらえない かもしれませんし。それなら平等に三等分するのがいいか と考えまして。 長──(笑う) 参謀補佐──(笑う) 長──ネタとしては面白い。が、実際は笑えない事態になるかもな。 参謀補佐、首をかしげて言葉の真意を聞こうとするが、赤ん坊の むずがる声に長が顔を向けたので、そちらにつられる。 長──おやおや、放っておくわけにはいかないか。参謀補佐、頼む。 参謀補佐──私があやすんですか? 長──俺の魅力は幼女にはわからないだろうしな。 参謀補佐──その件に関してのコメントは控えさせてもらいますが…… まあ、子供をあやすことについてはお任せください。 参謀補佐、箱に向かって身構える。自信をうかがわせる笑み。 参謀補佐──(顔を伏せて)いないいない……おお、怖い怖い(きめぇ 丸シェイク)。 火の付いたように泣き出す赤ん坊。大音響が辺りに満ちる。 参謀補佐──あ、あれ。おかしいですね。子供たちには人気だったの ですよ、肝試し大会で。 長──その特長がいかんなく発揮されたな。 参謀補佐、慌てふためいて何とかしようとするが、どうにもできない。 やがて騒ぎを聞きつけたのか、参謀・レイム・マリサが戻ってくる。 レイム──あっ、長だ。 マリサ──参謀補佐もいるのぜ。 参謀──二人とも、何をやってるんですか! 長──いや、大したことじゃない。参謀補佐のキモくてウザい魅力を たーんと味わってもらおうと思ってな。 参謀補佐──幼女にはわからなかったようですがねぇ。おお、無理解 無理解。 参謀──ふざけたこと言わないでください! まったく、トラウマに なったらどうするんですか。(赤ん坊をあやしにいく) 参謀補佐──そんな先のこと気にしてどうするんですかね。 参謀、赤ん坊を髪の房で撫でながら、「よしよし」と笑顔を向ける。 ほどなくして、赤ん坊の泣き声は止み、笑い声が上がる。 長──見事な扱いだ。 レイム──やっぱりお母さんみたいだね。 参謀──それじゃあお湯を用意して身体を洗いましょうか。 参謀補佐──下ごしらえですか。 参謀──え? 参謀補佐──え? 参謀──ああ、それから傷があったりしたら、薬草も必要ね。 参謀補佐──香味野菜で風味を付けるのですね。 参謀──え? 参謀補佐──え? 参謀──とにかく慎重に、丁重にね。 参謀補佐──ん? ええと? あれ? まさか、飼う気なんですか? 参謀──飼うって、そんな言い方はないでしょう。保護するだけよ。 参謀補佐、うろたえて長のの方を見る。長、「言ったとおりだろう」 とでもいうように皮肉な笑みを浮かべる。 マリサ──長も参謀補佐もどうかしたのかぜ。 長──出荷するはずの豚がペットになってしまって動揺しているのさ。 参謀、ジロリと長を見る。長、身をすくめる。 参謀──それから、この子、多分お腹もすいているだろうから、ミマ種 にお願いして練乳をもらってきた方がいいわね。 長──そうだな、腹も減ったし、クリームの他に塩と酢も用意しようか。 参謀──おしゃぶりとか必要かしら。それともおもちゃとか、子守唄? 長──よく加熱した油とか入り用かな。あるいは刺身とか、ユッケ? 参謀、キッと長をにらむ。長、即座に飛び退く。 参謀──あら、どうして距離を取るんです? 私から。 長──いや、一定以上離れてないと極めて危険だと、本能が告げるんだ。 参謀──そうですか。 長──そうなんだ。 参謀──うふふ。 長──ははは。 参謀はにじり寄り、長は後ろに下がる。どちらからともなく駆け出し、 そのまま舞台上手へと退場。 参謀補佐──あー……。 レイム──行っちゃったねー。 マリサ──どうするのぜ、これ(赤ん坊を見る)。 参謀補佐──とりあえずは参謀の言われた通りにしましょう。 マリサ──参謀補佐はそれでいいのぜ? 参謀補佐──構いませんよ。長には考えがあるようですし。ああ、それと。 レイム──ゆ? 参謀補佐──先ほどから二人は敬語を使わなすぎです。罰が付きますよ。 レイム・マリサ──ゆがーん! 参謀補佐──さあさ、赤ん坊を運んでください。それからバシバシ働い てもらいますからね。それら労役が罰となります。 レイム──た、ただ働きっ?! 参謀補佐──当然です。 マリサ──トホホのぜ。 レイム──ゆぅん、とんだものを見つけちゃったよ。 レイムとマリサ、箱を運んで参謀補佐の後をついていく。三匹、舞台 下手へと退場。 やや間をおいて、長と参謀が舞台上手から戻ってくる。軽快に動く長 に対して、参謀は息を切らしている。 参謀──ゼェ……ハァ……。 長──頭脳労働タイプとはいえ、もう少しは体力の欲しいところだな。 参謀──ハァ、これでも、ハァ、パチュリー種の、ハァ、中では… 長──「これでもパチュリー種の中では体力はあるほうです」か。 それで良しとするわけにはいかんよ。お前さんは群れを治める 立場なのだからな。 参謀──ハァ、ハァ、そ、そうですか。 長──そうさ。いざというときには不眠不休で群れ全体の動きを把握し、 指示を出さなくてはならない。自ら戦う事態だってあるだろう。 参謀──それは、まあそうですけれど。 長──自分の立場、わかっているかい? 参謀──ええ。 長──嘘をつけ。 参謀、息を呑む。長、隻眼を細めて参謀を見つめる。 長──飼育、保護、育児。呼び方は何でも構わないが、お前さんはどう いう意図で、あの幼児を扱おうとしているのかな。 参謀──私は、その、 長──たくさんのゆっくりが死んだなあ。特に幼齢の。特にパチュリー 種の。救えなくて後悔している。反省している。悲しんでいる。 参謀、言葉を返そうとして返せない。口を意味なく開閉するだけ。 長──人間の幼児を救うことで、自分の気持ちを救おうというのかな? それでは、その結果は如何なるものになるのか見えているかい? 死んだゆっくりの死因は食料が足りないことからくる栄養失調。 あの幼児が捨てられた理由も食糧難からだろう。事情はどこも 同じだからな。 参謀──余裕は、ない…… 長──ああ、手間も食料もちょっとでも割けば、それだけゆっくりも 死ぬという理屈さ。お前さんは自分を救うために、より自分を 追い詰める行動をすることになるな。火あぶりになっている自分 を助けるために必死で息を吹きかけて、より火勢を強めるような ものだ。 長、軽く笑う。参謀、顔を伏せる。 長──自分一人だけが不利益を被るならまだいいが、群れ全体が不利益 になることをやらかされたのではたまらないな。いやはや、全く。 私情を公務に絡めるのを一概に悪いとは言わないがね、群れの 方針に反するのは勘弁願いたい。統制が取れなくなる。それも 参謀がやらかしてしまうのはね。 長、顔を伏せたままの参謀を見つめる。沈黙。 長、その場から離れてゆく。背中越しに参謀に話しかける。 長──わかっているかい? いや、どうあれわかってもらうよ。赤ん坊 の処遇、お前さんが決定してくれ。それがお前さんの課題になる。 いや、罰かな。 長、舞台下手へと去る。舞台が暗くなり、残された参謀に光が当てら れ、やがて参謀が静かに顔を上げるところで暗転。 暗転の中、ゆっくりたちの足音が聞こえてくる。 溶明。 舞台中央、赤ん坊の収められた箱を、マリサとレイムが頭に載せて運 んでいる。 レイム──(息を切らしながら)ゆふぅ、ゆふぅ。 マリサ──(息を切らしながら)ぜぇ、なのぜぇ。 レイム──あ、あとどれくらいなのぉ? マリサ──さ、さっきの山を越えたから、多分もう少し掛かるのぜ。 レイム──たっ大変だよぉ。マリサ、ちゃんと持ってるぅ? マリサ──持ってるのぜ。レイムこそちゃんと合せるのぜ。 箱が揺れ、二匹は慌てる。何とか落ち着き、再び歩を進める。 レイム──ゆぅ、中身がキノコとか果物だったら良かったのに。この倍 くらいの重さでもいいよ。さっきのイノシシでもね。 マリサ──ホントのぜ。気を遣うから疲れるのぜ。 レイム──揺らしちゃダメだよ、マリサ。 マリサ──モチのロンのぜ。万一泣かせでもしたら、太っちょママさん から折檻のぜ。 上手から現れる参謀。レイムとマリサは気づかず、談笑を続ける。 レイム──怒りの「ぼでぇーぷれす」が炸裂するかもね。 マリサ──母の愛は重いのぜ。 レイム──ペタンコになっちゃうよ。 マリサ──甘いのぜ。あの大きさと重さだったら、ペタンコどころか、 跡形も残らないのぜ。 レイム──おお、こわいこわい。 マリサ──こわいこわいのぜ。 二匹、笑う。 参謀──(二匹の近くで)何が怖いのかしら。 レイムとマリサ、突然の参謀の声に驚く。箱を落としそうになるのを 見て、参謀も驚く。三匹して箱を支え、事なきを得る。 レイム──ゆふぅ~。 マリサ──間一髪のぜ。 参謀──(胸をなでおろす) レイム──まったく参謀は、脅かしっこ無しだよ! 参謀──あなたたちが原因でしょう。気持ちが浮ついてるわよ。 マリサ──はい、のぜ。 レイム──ごめんなさい。 参謀──自分たちの任務、理解しているのかしら。 レイム──それはもちろんだよ! みんなで遠足! 参謀──集団で遠征よ。訓練なの。探索も兼ねてるわね。大した理由な く群れが動くはずないでしょ。 マリサ──物資の円滑な運搬も理由の一つのぜ。 参謀──そうよ。あなたはわかっているみたいね。 マリサ──でも、さすがに疲れたのぜ。運ぶの、さっき仕留めたイノシ シじゃダメかなのぜ? 参謀──ダメよ。あなたたちは「それ」の専属。今回の遠征がなければ 運ばなくって良かったものだけど。 マリサ──トホホ。 レイム──それにしてもイノシシさんが襲ってくるなんてね。 参謀──よほどお腹が空いていたみたいね。横から最後尾のゆっくりを 狙ってきたのは驚いたわ。 レイム──返り討ちにしたけどね。逆にこっちの食料が増えることにな ったよ。 参謀──ヨダレ、出ているわよ。 レイム──ゆぅっ!(ヨダレをふく)仕方ないよ! だってお腹すいた んだもの。(箱を見て)これがお弁当だったらなあ。 参謀──指の先さえかじらないようにね。長の意向は「生きる価値の無 い人間以外はできるだけ食べない」だから。 マリサ──うーっ、マリサも腹減ってきたのぜぇ。イノシシ食いたいのぜぇ。 レイム──イノシシさーん、早くレイムのお腹に飛び込んで来てね! 早くていいよ! 舞台上手から巨大なイノシシの頭がヌゥと現れる。 レイム──ゆぎゃぁああああ! マリサ──な、何なのぜ?! 参謀──(口をあんぐり開けている) イノシシの首を棒にくくって掲げた参謀補佐が登場。 参謀補佐──失礼ですねえ。そんなにキモいですか、私の顔。 参謀──あなただったの。何やってるの? 参謀補佐──さっきイノシシの血抜きが終わったんですよ。で、首の の方は先頭に持っていけと、長が。 マリサ──長が? レイム──何で? 参謀補佐──さあ。参謀は見当つきますか? 参謀──いいえ、あんまり。 参謀補佐──そうですか。まあ命令ですから、ともかくも先頭に行って きます。では失礼。おお、重い重い。 参謀補佐、舞台下手へと去る。 レイム──ゆぅう、びっくりしたよ。突然生首が出てくるんだもん。 マリサ──いや、レイムも生首なのぜ。 レイム──イノシシさんは別腹なんだよ! 参謀──別腹……? 参謀補佐──あ、言い忘れてました。 参謀補佐、唐突に舞台下手から再登場。やはりイノシシの首と一緒に 現れたので、三匹は驚きの声を上げる。 参謀補佐──赤ん坊、列の最後尾より更に後ろに控えさせといてください。 参謀──え? 参謀補佐──長からの命令、その二です。いえ、これからちょっと騒が しくなるのでね、赤ん坊が泣いてはいけませんから。では、 改めまして、失礼。 参謀補佐、舞台下手へと退場。三匹、顔を見合わせる。暗転。 暗闇の中、ザワザワと交わされる声。 スポットを当てられた参謀補佐、舞台上手から登場。あちこちに視線 を巡らせながら中央へ向かって移動していく。 参謀補佐──ふむふむ。なるほど、面白い。四方を険しい山々で隔絶さ れた集落は特有の風習なり何なりがあると言いますが、そ ういった雰囲気にあふれてますね。見れば見るほど面白い。 これは来たかいがありました。 参謀補佐、あちこちに向けていた視線を前に固定。 参謀補佐──あ、どうもどうも。所要ありまして、遅れてすみません。 参謀補佐のキメェマルです。 溶明。村の中。参謀と参謀補佐、箱に寄り添うレイムとマリサがいる。 向かい合って、村長他、村人たち。 村人A──いやあ、ようこそおいでくださいました、このようなヘンピ な村に。何のおもてなしもできませんが、ゆっくりしていっ てください。 参謀補佐──ええ、ありがとうございます、村長さん。 参謀──(村人Aの隣を示し)村長はこちらの方。 参謀補佐─あ、すみません。ずいぶんとお若いので。 村長──みんな若いですけどね。 一同笑い。 村長──(キメェマルを見て)それで、この方が群れを治めて? 参謀──いえ、群れの長は別にいて……参謀補佐、長は? 参謀補佐──ちょっと花摘みに。 レイム──この辺りにお花畑があるの? レイムも行きたいよ! マリサ──タンポポとかチューリップとか美味しいのぜ! 参謀──どちらもこの季節、咲いてないわよ。それにそういうこと じゃなくてね…… 参謀補佐──便所です。うんうんです。 参謀──もうちょっとデリカシー! あからさま過ぎるでしょ! マリサ──ブリブリ、モリモリのぜ。 レイム──おお、臭い臭い。 参謀──あなたたちも乗らない! 村長──あははは、にぎやかでよろしいことですね。 参謀──すみません。すぐ出ていきますから。 村人A──遠慮は要りませんよ。休まれていかれては? 参謀──訓練の途中に立ち寄っただけですから。それにあれだけの数 がぞろぞろ入ってきたらやはり迷惑でしょう。 村人B──いえいえ、そんなことは。 参謀──それに先ほど狩りをして気が立ってますし。 村長──ああ、あのイノシシですか。立派なものですねえ。あんな巨大 な獣とやりあって無事だったんですか? 参謀補佐──負傷者はゼロですね。 村長──ほほぉ。 参謀補佐──楽々とはいきませんでしたけど。 村長──ああ、それで気が立っている。さっきの歌も? 参謀補佐──凱歌のことでしょうか。やかましくてすみません。テンシ ョン上がりまくってるのですよ。 村人A──いやあ、久しぶりに威勢のいいのを聞けて、活気が出ます。 参謀──そう言っていただけるとありがたいです。ところで例の件なの ですが。(箱を見る) 村長──ええ、それはもちろんお任せください。皆様の温かい気持ちを 十二分に理解した上で、丁重に扱わせていただきます。 参謀──よろしくおねがいします。では、私たちはこれで帰ります。 村長──はい、道中お気をつけください。 参謀──ありがとうございます。 参謀補佐──もう来ることはないとは思いますが、いつでも気にかけて ますよ。 村人B──はい。ではごきげんよう。 レイム──じゃーねー。赤ちゃんにも、じゃーねー。(と箱に向かって 投げキッス) マリサ──(背を向けて)さよならは言わないのぜ。(振り向いて)グ ッバイなのぜ。 村人A──さようならー。 箱を残し、参謀たちが舞台上手へと退場。 村人たち、相手が立ち去るのを見届けてから箱に駆け寄る。中をのぞ く目の光は、異様な輝き。 暗転。 暗闇の中、鳥の泣き交わす声が次第に聞こえてくる。 舞台中央にサス、その下で長と参謀補佐が話をしている。 参謀補佐──ところで、何故に立会いの場に来られなかったので? 長──適当な場所が見つからなくてね。 参謀補佐──花摘みの? 長──花摘みの。いやあ、催しながら探すのは苦労したよ。 参謀補佐──そこらでしてくれば良かったのでは。 長──乙女に対し、それはないだろう。群れの代表としての品位も問われる。 参謀補佐──はあ、品位、ですか。 長──何か言いたそうだな。まさか俺には品位の欠片もないとか? 参謀補佐──いえ、あえて何も言いませんが。ところで『悪魔の証明』 って知ってます? 長──酷い言われようだ。 参謀補佐──で。 長──ん。 参謀補佐──実際のところは何をしておられたので? 長──村の中を探索させてもらってた。 参謀補佐──あのまま一人で行ってしまわれたのですか。ずるいです ねえ。次は私も誘っていただけますか。 長──単独の方が都合良くてな。今回は土産話で勘弁してくれ。 参謀補佐──面白いものが見つかりましたか。 長──うん。牛舎を覗いてきたんだが、ゆっくりの皮があった。きれい にはぎ取られていたよ。 参謀補佐──おお、怖い怖い。私たちも食べられていたかもしれませんねえ。 長──それを防ぐための示威行為さ。あれだけ物々しくやれば、うかつ に手は出せないだろう。こちとら曲がりなりにも妖怪だしな。 参謀補佐──わざとらしいくらいに有効的な態度を見せていましたね。 他には何を見つけましたか。 長──めぼしい物はそれくらいだな。 参謀補佐──それだけですか。 長──事物は一つでも、見方によってはいくらでも深く、面白くなるさ。 お前さんはあの村に何を見た? 参謀補佐──村長を見間違えてしまいました。 長──見間違えたか。……よく見ているな。 参謀補佐──ええ、皆さんお若く、そして似たようなお顔でした。 長──つまりは。 参謀補佐──近親婚がかなり深刻ですね。そりゃ早死にもしますよ。 血が濃すぎるんです。 長──クローン並みに同じ造形にもなるしな。 参謀補佐──けれど、赤ん坊は重宝されるでしょうね。新しい血です。 村の延命には欠かせない存在となるのですから。ただ、複 数相手の性交を強制される可能性はあるのですけど。 長──その可能性はあるな。別の可能性も考えられるが。 参謀補佐──平穏無事、幸福満点な人生ですか? 長──心にも無いことをスラスラ言うのは感心しないな。 参謀補佐──おお、非礼、非礼。それは長の特権でしたね。 長──そういうことだ。で、話を戻すがな、先ほど述べたゆっくりの皮、 参謀補佐──何です? 長──内側にべっとりと人間の血がついていた。既に黒く固まっていたが。 参謀補佐、意味を推し量るように怪訝な顔をするが、やがてあることに思い当たり、目を見開く。 参謀補佐──まさか。 長──何だと思う。 参謀補佐──『牛の首』の飢饉バージョン。 長──ああ、恐らくそうだ。 参謀補佐──参りましたね。しかし、そうだとしたら、赤ん坊がやがて 祭りの中心となったとしたら、 長──村人たちの腹の足しになるだろうな。十分ありうることだろう、 なにせ誰しもがお腹と背中をくっつけてる状態だ。 参謀補佐──我々が饅頭の群れとして襲われることは警戒していました が、これはなんともはや…… 長──ま、いずれにせよ俺たちの手を離れたんだ。どうにもならんし、 どうでもいいさ。 参謀補佐──参謀は、 長──うん? 参謀補佐──参謀は知っているのでしょうか。もしくは感づいて? それとも何も、 長──理解しているさ。 長の言葉と同時に、舞台上手側に新たなサス。その下に参謀。遠くを 見ている。 長──していないはずがない。俺の下で働き、お前さんの上に立ってい る彼女だぞ。ナマナカな目なぞ持っとらんよ。今話したこと程度 は、他の材料からでも察知しきってるさ。 参謀補佐──それでいながらあの態度を……そんな、本当に? 長──お前さんと同じでとぼけてるのさ。知った上で知らない態度を取 っている。大したポーカーフェイスだよ。無論、そうでもなけれ ば、参謀は務まらないとも言えるが。 参謀補佐──因果な立場ですねぇ。 長──他者の人生に気を遣えるほど、こちらに余裕はない。割り切るし かないさ。 参謀補佐──参謀は割り切りましたか。 長──表面だけでなく、心の奥においてまで、か? さあな。しかし、 最後には必ず割り切るさ。そうしなければいけないことは理解 しているんだ、参謀という立場にふさわしくな。 参謀補佐──(間)因果な立場ですねぇ。 長──ま、ともかく、今は仕留めたイノシシに舌鼓を打とう。久しぶり のごちそうだ。参謀補佐も楽しみだろう。 参謀補佐──中身、イノシシのままでしょうね。 長──保証はしかねるな。 長と参謀補佐が笑い合う中、ゆっくりと二匹に当たるサスが消えてゆく。 参謀、遠くを見つめている。やがて、静かに正面に向き直る。 ──幕── 黒ゆっくり9(了) 過去作 黒ゆっくり1 fuku2894.txt 黒ゆっくり2 fuku3225.txt 黒ゆっくり3 fuku4178.txt 黒ゆっくり4 fuku4344.txt 黒ゆっくり5 fuku5348.txt(改訂版 fuku5661.txt)(改々訂版 74.txt・yy0248.txt・8.txt) うやむや有象無象 fuku5493.txt 黒ゆっくり6 fuku5662.txt 樽の中のれいむ fuku6569.txt 都市の一角で fuku6886.txt 黒ゆっくり7 75.txt・yy0249.txt・10.txt 黒ゆっくり7注解? 76.txt・yy0250.txt・11.txt われときて anko792 空気嫁(がすわいふ) slowslow539.txt 空気嫁(がすわいふつう゛ぁい) slowslow562.txt 逝久璃 anko928 かつて一つの群れだったゆっくり達が2つに分かれ、反目しあう話 27.txt 爆発 28.txt 昔、お話、昔の話 anko1144 超餡子脳 ~序章にして終章~ anko1163 ファイアボール第X話「隔離」 33.txt 空気嫁3(がすわいふどらい) slowslow589.txt 空気嫁4(がすわいふふぃーあ) slowslow623.txt 透明な箱 48.txt 厨二病の俺がゆうかにゃんの群れをプロレス技で虐殺する anko2117 とりあえず なにはともあれ ゆうかにゃんぺろぺろ anko2178 酒と何かと男と女(ゆうかにゃん) anko2273 けっきょくやっきょく大冒険 anko2307 裏島太郎 60.txt アイソーポス物語 anko2675 空気嫁5(がすわいふふゅんふ) slowslow736.txt 黒ゆっくり867.txt ゆっくりアメジョ anko3390 ゆっくりアメジョ2 anko3399 ゆっくりアメジョ3 anko3437 ゆっくりアメジョ4 anko3494 ゆメジョ 69.txt ふたば系ゆっくりいじめ 260 油を使ってゆっくりを燃やすテーマで一本(*お題を与えられて一時間で書いたもの)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/654.html
※これはfuku1783 ゆっくり腹話術(前)の続きになります 子れいむと親れいむを失い、残り四匹となったゆっくり一家の後を追う。 親れいむが人間に連れ去られたショックはあるものの、ゆっくり一家にあるのは悲壮感ばかりではなかった。 残ったものが死んでいったものたちの分までゆっくりしよう、という思いなのだろう。 「ゆぅ、おにゃかちゅいたね…………」 ポツリ、と子れいむが呟いた。 「「ゆぅ……」」 その言葉に賛同するように声を漏らす二匹の子まりさ達。 このゆっくり一家は食べ物を求めて人里にやってきたが、狙った食べ物にはことごとくありつけなかった上に死ぬかもしれない思いまでしている。 空腹は既にかなりのものになっていることだろう。 腹を空かせる我が子の姿を直視できないのか、なんでもいいから食べ物を探そうとしたのか、親まりさは視線をキョロキョロと辺りに飛ばす。 すると、 「お~い、ノブナガ~。メシだぞ~」 近くの民家から一人の老人が皿を持って外へ出てきた。 どうやら飼っている犬にエサを与えに来たようだ。 老人が犬小屋の前にエサを盛った皿を置くと、バネ仕掛けのおもちゃのように勢いよく一匹の柴犬が犬小屋から飛び出してきた。 ガツガツと勢いよく食べる飼い犬の姿を満足そうに眺めた後、老人は家の中へと戻っていった。 「「「……………」」」 視線をゆっくり達へ戻すと、案の定というか子ゆっくり達は羨ましそうに犬のエサを見つめ、口の端からはだら~、とよだれまで出ていた。 親まりさも私と同じくその姿を見たのか、 「ゆっ、まりさにまかせてね。いぬさんからごはんをもらってくるよ!」 そう子ゆっくり達に言い残してすぐさまその場を駆け(跳ね)だした。 本来は人里の美味しい食べ物を狙いにきたのだろうが、犬のエサまで狙うとは。 余程腹を空かせていたのだろう。 「ゆっ、おとうしゃんがんばっちぇね!」 「むのうなおかあしゃんとはちがうもんね!」 「いぬしゃんなんかぶったおちちゃえ!」 親まりさの背後からは子れいむや子まりさの声援。 その声援を受け親まりさは犬のもとへ向かう速度を更に加速させると、そのままの勢いで食事中の犬のどてっぱらに体当たりを仕掛けた。 「ゆぉぉぉぉぉぉ!!」 「キャウンッ!?」 突然のことに思わずよろめき、その場から退く犬。 それを自分の勝利と思ったのか、親まりさは子ゆっくり達に「みんな~、おいで~。ごはんだよ~」と呼びかけていた。 「やっちゃー、さすがおとうしゃん!」 「おなかちゅいたよ~」 すぐさま親まりさの元へ結集する子ゆっくり達。 そしてゆっくり一家は犬のエサが盛られた皿に一斉に殺到した。 「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~」」」 犬のエサといえど野生のゆっくりの常の食事に比べれば豪勢だ。 子ゆっくり達の幸せそうな顔を、子の幸せは我が子の幸せだという顔で見つめる親まりさだったが、自分も腹を満たさねばと皿のエサを食べようとするが 「バウッ!!」 犬の鳴き声に驚き飛び上がった。 「ゆっ、ゆっ!? び、びっくりさせないでね! これはまりさたちのごはんなんだからいぬさんはさっさと────い゛だい゛いいい!!!!」 親まりさは抗議の声をあげたが、犬に言葉が通じるわけもなく、頭の一部を噛み千切られていた。 噛み千切られ失った左半分の頭部からは餡子が漏れ出ている。 「ゆっ、おとうしゃん!?」 「おとうしゃんににゃにするのぉぉ!!」 「だめぇぇぇぇ!! にげてぇぇぇぇ!!」 親の仇だ、と犬に突進しようする子まりさ達を諌める親まりさの声に、この犬も人間同様敵わぬ相手と悟ったのか、すぐさま逃亡を図る子ゆっくり達。 親まりさも噛み付かれたが頭部は千切られていたため、すぐにその場を離れることができた。 だが、子れいむが一匹、逃げ遅れていた。 犬から一番遠い位置に居て、犬に突っかかろうともせずに逃走の体勢に入っていた子れいむ。 本来ならば真っ先に逃げられていたであろうが、子まりさが子れいむを踏みつけていったため逃げ遅れていたのだ。 「ゆっ~、まっちぇぇ!」 背後からは犬が外敵を排除せんと追ってきている。逃げ遅れている自分。 恐らく子れいむは最初に死んだ自分の姉妹のことを思い出していたことだろう。 しかし、ここで子れいむを殺してしまっては私の計画が狂ってしまう。 私は子れいむを踏みつけていった子まりさに狙いを定めると、『腹話術』を使用した。 「ゆっ!? 〝ガメラが飛ぶ時の回転数すごすぎぃぃぃぃぃ!!!〟」 『腹話術』をかけられた相手はその間気を失う。 つまり、気を失った子まりさの足は止まるということだ。 足の止まった子まりさを追い抜いていく子れいむ。 理由は分からないだろうが助かったので特に気にすることはないだろう。 「…………ゆっ!? なんでれいむがまえにいりゅ────ゆ゛ーーーーー!!!!!」 子まりさが気が付いた次の瞬間には、子まりさは犬に咥えられていた。 「いだいよ゛ぉぉぉぉ!!! おどうじゃんだずげでよ゛ぉぉぉ!!」 噛まれ、宙に浮く子まりさは泣き叫び親に助けを乞う。 しかし親まりさは無力である。ゆっくりが自分より体の大きいものに敵うはずもない。 「ゆっ、ゆっ……!」 犬は鎖に繋がれているため鎖の長さ以上の距離を逃げている親まりさ達は襲われることはない。 だが犬の行動範囲内に飛び込もうものなら今度こそ問答無用に殺されてしまうだろう。 子まりさを助けることは最早不可能だった。 「ゆ゛っ、ごべんね、ごべんねぇぇぇぇ!!」 親まりさは涙を流しながら子まりさを見捨てた。 残った子まりさと子れいむを連れて全速力でその場を逃げ出したのだ。 「ゆっ、おとうしゃん、まりさのいもうちょがぁぁぁぁ!!!」 「だめだよぉぉぉ!! みんなしんじゃうよぉぉぉ!!」 親まりさに咥えられた子まりさは犬に咥えられた子まりさを助けるよう求めるが、それは叶わぬ願い。 子れいむも子まりさを助けようとしたのかいくらか逡巡していたが、やがてどうやっても助けられぬと分かったのか去り行く父親達の後を追っていった。 「どぼぢでぇぇぇぇ!!! なんでまりしゃを……ゆがべぺ……ゆ゛っ!!」 助けられなかった子まりさは、身の程を弁えぬ所業と身内を蹴落とすという外道な行いの報いを受ける。 子まりさは少しずつ咀嚼されるという苦しみの中息絶えていった。 その死に顔は私の胸がすっ、とするほどの絶望と苦しみに彩られていた。 「…………くふっ」 思わず笑いが漏れる。 遂に半分にまで数の減ったゆっくりの一家はその歩を人里の中心に向けていた。 だが当人達は気づいてないだろう。ただ襲い来る脅威から逃げていただけにすぎない。 やつらは気づいていない。自分達から危険に近づいていることに。 「……ゆっ? おとうしゃん、いいにおいがするよっ!」 それまで俯いてしょこしょこと小さく跳ねていた子まりさがその場で嬉しさを表現するように跳びはねた。 言われ親まりさと子れいむもその場で立ち止まり鼻(?)をひくひくさせて臭いを嗅ぎ取ろうとする。 「ゆっ、ほんちょだ! おいちしょうなにおいがしゅるよ、おとうしゃん!」 「ゆゆっ、ほんとうだね! こっちからするよ! ゆっくりできるよ!」 それまで沈んでいた家族の間に笑顔が戻ってきた。 ゆっくり一家はその笑顔のまま臭いのする方へとぴょこぴょこと進んでいった。 だがゆっくり一家がその先で「しあわせ~」になることはないだろう。 ゆっくり達の向かった先、「いいにおい」の出所は、焼き鳥屋だった。 私もよく行く馴染みの店だ。 夜になると人間や妖怪達が一緒に酒を飲み騒いでいる。 今日も店の中からは様々な笑い声や上手そうな焼き鳥の匂いが漏れ出ている。 中の者だけではなく近くを通りかかった外の者まで陽気にさせる、私の好きないつもの雰囲気だった。 「ゆっ、ここからおいしそうなにおいがするよ」 「ゆっ♪ ゆっ♪ これでゆっくりできるね~♪」 パンドラの箱に残った希望を見つけた人間のような表情をしながら焼き鳥屋の方へと跳ねていくゆっくり一家。 焼き鳥屋の入り口は引き戸なのでゆっくりには開けられないかと思ったが、誰かが閉め忘れたのか若干開いており、そこに親まりさが自分の頬を突っ込んでむりやり戸をこじ開け入っていった。 私は店に入るか入るまいか若干迷ったが結局入ることにした。 「ゆ~♪ おいちちょ~♪」 中に入ると子ゆっくりが歓喜の声をあげていた。 店の者達は入ってきたゆっくりを気にもとめず(というか気づいていない)皆好き勝手に飲み騒いでいた。 まだ日が沈んでから一刻も経っていないというのに気の早い連中だ。 ぴょこぴょこと跳ねながらゆっくり一家はカウンター席の方へと向かっている。 私もゆっくりの後に続いてカウンター席へと向かう。 普通に歩いてはゆっくりを追い抜いてしまうから牛歩戦術だ。 ゆっくり一家はカウンター席の下まで辿り着くと、親まりさが空いている席の椅子へとジャンプした。 そして椅子からカウンターへと再びジャンプ。カウンターの上に乗った親まりさはカウンターの向こう側で焼き鳥を焼いている店主(私達は敬意と親しみを込めて〝マスター〟と呼んでいる)に向かってこう要求した。 「ゆ~、おじさん! まりさたちにもごはんちょうだいね!」 どうやらマスターが客に注文された酒や焼き鳥を渡すのを見て、マスターが食べ物をくれる人だと勘違いしたようだ。 「おぉう? なんだ、ゆっくりじゃねぇか」 親まりさにマスターよりも先にすぐ隣の席で酒を飲んでいた客が気づいた。 って、誰かと思えば飲み癖と悪食とロリコン趣味で有名なタケさんじゃないか。 流石に稗田家の当主はやめておいた方がいい、と今日こそ言うべきか? 「なんだ? 誰がゆっくり入れたのは」 タケさんが親戚のわんぱく坊主でも見るかのような反応を示したのに対し、マスターは明らかに不機嫌そうだった。無理もないか。 「いや、店の戸が半開きだったんですよ」 タケさんの隣の席に座り、誰かに濡れ衣が着せられる前に私がフォローに入った。 「おぉう、なんだ、お前がゆっくりを連れてきたのか? ……ゥィック」 「違いますよ」 やんわりと否定しておく。どっちかっていうとゆっくりが私を連れてきたようなものだ。 というかタケさんもう酔ってるんかい。 「ゆっ! ゆっくりむししないでね! さっさとまりさとまりさのこどもたちのためにごはんをよういしてね!」 見ると親まりさがその体を膨らませて怒っていることをアピールしていた。 それを見てタケさんがゲラゲラと笑い、マスターが更に不機嫌そうな顔になり、私の虐待エナジーが高まる。 「ちょうだちょうだ! さっさとまりしゃたちにごはんをよういしてね!」 カウンター席の下、タケさんの足元で子まりさも親に続き抗議の声をあげる。 タケさんがその声で子ゆっくりが居ることに気づき視線を下に向け 「おぉう、ちみっこもいるのか~」 と陽気に笑った。 …………決めた。 親まりさ、貴様を潰すのは後だ。 ここでは子まりさを潰す。 私は『腹話術』を、今度はゆっくりではなく、タケさんに向けて発動させた。 「〝おぉう、マスター! ちょいとこの子ゆっくり焼いてくれや!〟」 「「ゆっ!?」」 親まりさと子まりさが跳ね上がる。 私は『腹話術』をかけられ自分が注文したことを知らないタケさんに代わり、床にいる子ゆっくりを拾い上げた。 「ゆっ!? まりしゃをどうちゅるの! ゆっくりはなちてね!」 「はなちぇ~!!」 掴まれた子まりさがジタジタと身をよじり、側にいた子れいむがピタンと体当たりをしかけるが効果は無し。 なんの障害もなく子まりさは私からマスターへと手渡された。 「まったく、タケさんの悪食っぷりは相変わらずだねぇ」 マスターはそうぼやくだけで特に疑問ももたず子まりさの調理にかかった。マスターも馴れたものだ。 「まりさのごどもがえせぇぇぇぇぇ!!!」と私が子まりさを掴んだあたりから親まりさが騒いでいたが、タケさんが面白がって押さえつけていたので何もできていない。 マスターは子まりさを軽く水あらいして「ゆぐがぼべっ!!」、さっと振って水気を飛ばすと「ゆゆゆっ!?」、焼き鳥を焼く金網の上に子まりさを乗せた。 「あ゛ぁぁぁつ゛つづっっいいいぃいぃよおおぉぉ!!!」 ボロボロと涙を流す金網の上の子まりさ。零れ落ちた涙はすぐにジュッと蒸発する。 なんとか金網の上から逃れようとするもマスターが上から菜箸で押さえつけているため動けない。 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!!ま゛り゛ざのごどもがぁぁぁ!!いぎゃ"ぁ"ぁ"!! タケさんに押さえつけられている親まりさがカウンターで泣き叫ぶ。 ガハハハハハと笑いながらタケさんに押さえつけられている無力な親まりさは素晴らしい程に滑稽だった。 「ぶわっはっはっはっは」 とついつい私も笑ってしまう。 私のことを知らない他人が見ればどこの大根役者だと思うことだろうが。 「おどうじゃん、だずげでよぉぉぉ!!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!! まりじゃのあぢがぁぁぁぁ!!」 金網の上で泣き喚く子まりさを、マスターは無慈悲に菜箸で転がす。 今度は顔面が金網のつく形になった。 「ゆ゙ーーっ゙!!! も゛う゛や゛め゛でえ゛えええ!!」 ハッキリ言って煩いが顔面を焼かれているためすぐに大人しくなるだろう。 もう一つのうるさい親まりさはと言うと 「グワッハッハッハ、なんだお前、頭ないじゃんぶわっはっはっは」 と欠けた頭部からタケさんに箸を突っ込まれ頭の中の餡子をグチャグチャにされていた。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛…!」 なんだか白目を向いて痙攣していた。はっきり言って気持ち悪い。キモイじゃなくて気持ち悪い。 「へい、焼きゆっくり一丁!」 やがて子まりさが焼き上がり小皿に乗せられタケさんの前に置かれた。 「ま"り"ざのごどもがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!!どぼじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!!」 「あれ? 俺焼きゆっくりなんて頼んだっけ?」 「なんだい酔っ払いすぎだよタケさん」 「そうだよタケさん、酔いすぎだよ」 焼きゆっくりの注文は私が『腹話術』で頼んだためタケさんは覚えているはずがないのだが、マスターの言葉尻に乗って酔ったせいにしておく。 「んあ~、そう言われれば頼んだ気も…………でもいらねぇや」 タケさんはそう言って子まりさを掴むと床に叩きつけて草履の踵部分でグリグリとすり潰した。 その光景を子れいむは間近で見ることになったことに、私は気づいていた。 「あぁ、もう。やめてくれやタケさん、掃除するの俺なんだから」 「おっと、わりぃなマスター。代わりにもう一杯くれや」 「何が代わりなんだか」 「ゆぐ……ぐずっ……なんでごんなごどするのぉ……まりざのごどもがぁ……」 「なんだ、まだいたのかこのゆっくり」 「あ、私が外に出しておきますよ」 マスターの不機嫌が本気でヤバい段階にいきそうだったのでマスターに潰される前に私は親まりさを抱えて外に向かっていく。 もちろん子れいむも忘れずに足で外へと蹴飛ばしながらだ。 「飲みにきたんじゃないのか?」 「焼き鳥を家で食おうかな、と思っただけです。後でまたとりにきますから焼いといてください」 「あいよ」 成り行きで今晩の飯が決まった。 だが飯の前に、最後の仕上げだ。 ふっふっふっ、最後は私自ら手を下そうぞ。 どこのラスボスだよ。 私は親まりさを抱え子れいむを蹴りながら焼き鳥屋と隣の酒屋の間の狭い路地に入った。 その間親まりさを子れいむも子供のようにボロボロと涙を流し続けていた。 「さて、と」 子れいむを蹴飛ばすのをやめ、子れいむの脇に親まりさを置いた。 ゆっくりと視線を合わせようと、その場にしゃがみこむ。それでも私の方が視線が上だが。 「おいゆっくり。なんでこんなことになっているかわかるか?」 「ゆっ、ゆぐっ……まりざのごどもがぁぁぁ……」 「質問に答えろよクズ饅頭」 親まりさの口に拳を突っ込む。喉までだ。 そして体の奥底の餡子を一握り掴むと勢いよく引っ張り出した。 「ゆべぇぇぇぇぇ!!!」 叫び、咽る親まりさ。 その顔に親まりさの体から抜き出した餡子を叩き付け、もう一度問う。 「なんで、こんな、ことに、なって、いるか、わかるか?」 脳の足りないゆっくりにも分かりやすいように一語一語区切りながら。 それで流石に理解したのか親まりさは泣きながら答えた。 「ゆぶっ、にんげんだぢがまりざだぢのじゃまずるがらだよぉぉぉ!!」 「残念、不正解だ」 罰として今度は親まりさの歯を引っこ抜いてやる。 もちろん道具など使わない。素手だ。 左手で上顎を掴み、右手で前歯の一本(歯は飴だった)を情け容赦なく引っこ抜いてやった。 「ゆぼぉぉぉ!?」 「ゆゆっ、おとうしゃん!!」 それまで親まりさの後ろでガタガタ震えていただけの子れいむも恐怖を忘れて親まりさを心配する。 だが子れいむ。貴様は今は後回しだ。 「正解を教えてやるよ」 私はそう囁きかけながら引っこ抜いた歯を親まりさの右目にぐりぐりとおしつけてやる。 「ゆがっ、べぽ……ぜいがいっでな゛に゛ぃぃぃぃぃ!!!」 「お前らが身の程も弁えず人間の里に来たこと。それと家族を見捨てたことだ」 親まりさはその言葉でカッと目を見開く。何故知っているのかという顔だ。 だが今はそこを言及する場合ではないと分かっているのか、口にしたのは弁解だった。 「ゆっ、だっで、だっで、ごはんがもうないんだよっ! にんげんのごはんをもらわないといぎでいげないんだよっ!」 「それはお前等の怠慢だ」 罰として頬をちぎってやる。 「ゆ゙ーーっ゙!!! …………ぞ、ぞれに、みずでだわげじゃないんだよっ! あぁじないど、みんなゆっぐりでぎないがら、じがだがなかったんだよっ!」 「ほぉ、つまりお前は多数を助けるために少数を尊い犠牲としたと?」 「ゆ゛っ! そうだよ! まりさはかぞくをたすけるためにしかたなく────!」 私は親まりさの行動を思い返す。 確かに、親れいむほど悲しみに打ち震えていなかったが、子まりさほど死んだ者を罵倒してもいなかった。 子れいむの足を引っ張って死なせたのも子まりさだ。親まりさじゃない。 親のほうのまりさは、割といい親だったのかもしれない。 こいつの言い分を鵜呑みにするならば、必要以上に悲しみに暮れなかったのも、一家の大黒柱の責任故だったのかもしれない。 でもそんなの関係ねえ。 「でもな、まりさ?」 「ゆっ?」 「そのまりさが助けたようとした家族、子れいむ以外みーんな死んじゃってるけど?」 「ゆっ!? ゆゆゆゆっ……!」 私の言葉にガタガタを震える親まりさ。 気づいたのだ。多数を助けるために少数を犠牲と成すやり方で、助かったのは少数なのだと。 「で、でもっ! れいむはいぎで────」 「こんなクズな親のもとにいたられいむゆっくりできないから、この子は私がもらっていくね?」 「「ゆっ!?」」 それまで黙っていた子れいむまで驚愕する。 そんなゆっくりには構わず私は子れいむを掴むと着ていた服の懐に入れた。 くぐもった「ゆ゛っーーー!!」とした声がわずかに聞こえてくるが無視しておく。 「ゆ゛ぅぅぅぅ!! ゆっぐりやめてね!!! まりざのごどもがえじでね!!」 子供を取り返そうと飛び掛ってくる親まりさの顔面を掴んでやると私は立ち上がり、そのまま表まで歩いていった。 手の中で「ゆがぁぁぁぁ!! はなぜぇぇぇぇ!!」と親まりさが喚いている。 吐息が気持ち悪かった。 私は人里の中を親まりさを掴んだまましばらく歩く。 道行く人、妖怪が親まりさの叫びに気づいてこちらを見やるが、私がゆっくりを掴んで歩いているのを見ると「なんだ、ただの虐待お兄さんか」と視線を外した。 そして私は人里の中で、二つの通りが交差する場所まで来ると、親まりさを地面へと落とした。 「ゆべっ!?」 ずでん、と転がる親まりさを一回蹴った後、私は懐からさっきの子れいむを取り出した。 「ゆっ! れいみゅをかえちてくれりゅの?」 無視。 「さてまりさ。選ばせてやる」 「ゆっ、ゆっ、まりざのごどもをがえ────」 「黙れクズ饅頭。喋っているのは私だ」 まともに会話できそうにないので口元を踏みつけて黙らせた。 しばらく「ゆ゛ーーー!! ゆ゛ーーー!!」と身を捩じらせていたが私が足をどけないと分かると少し静かになった。 「さて、お前に選ばせてやる」 そういいながら手の中の子れいむを眼前に突き出してやる。 子れいむも煩いので指を口に突っ込ませて黙らせている。 「お前があくまでこいつを返して欲しい、と私に戦いを挑むのであれば、こいつは死ぬ」 「「────っ!?」」 ゆっくりの目が見開かれる。 「だが、お前がこいつの命を助けて欲しいと願うのであれば、私はこいつをゆっくりさせてやるし、お前も逃がしてやろう」 私はそこで足をどけてやる。 「ゆっ! おじさんほんと!?」 「おにいさんだクズ饅頭」 口に蹴りをぶち込み歯を二、三本折ってやる。 「あぎゃぁッああ!! …………ゆ゛っ、おにいさん、ほんどう? そのごゆっぐりざぜでぐれる?」 「ああ、もちろんだとも」 「このまままりざががえれば、そのごゆっぐりでぎるの?」 「その通りだ」 このやり取りの間、子れいむはずっと声も出せず泣いていた。 目の前で親が見るも無惨にやられている。 悔しいのか、悲しいのか。 私にとってはどちらでもどうでもいい。 ただ指にたれてきた涙の生暖かさが、こいつは〝私流〟にゆっくりさせてやろうと決意させただけだ。 私は親まりさの頭をつかむと後ろを向かせてやった。 「道が二つある。どちらでも好きな方へ行って帰れ」 そう言ってやると、親まりさはしばらくその場で悩んだ。 だが、答えはもう決まっているだろう。 「ゆ゛っ、わがっだよ。まりざはおうぢがえるよ。だから、まりざのごどもゆっぐりざぜてね?」 「ああ、約束だ」 「じゃあね…………バイバイ……」 そう呟く親まりさの語尾は尻すぼみに消えていった。 やがてとぼとぼと左右のうちの右の道から里の外へと向かっていく親まりさ。 私は子れいむの口を塞いでいる指を抜いてやった。 「ゆぐっ……! おとうしゃぁぁぁぁぁん!!」 親を呼ぶ子の声。 今生の分かれとなる親子の、最後の会話。 親まりさは子れいむの声に振り返ると、くしゃり、とその顔を涙で崩すと、精一杯の声で叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それで最後。 親まりさは子れいむの反応も見ずに全力で駆け出した。我が家へと。 親まりさの選択は正しかった。 命あってのものだねだ。 最後は二匹になってしまったが、全滅はしていない。 あの親まりさも私が見逃してやったことによって、やがてまた新しい所帯を持つことだろう。 この悲劇を教訓に、次こそゆっくりとした生涯を送るであろう。 次こそ、そう次こそ────。 「見逃してあげても、よかったんだけどねぇ」 君が悪いんだよ、まりさ。 私は選ばせてやった。〝どちらの道で帰るか〟を。 なのに君はそっちを選んだ。 あぁあ、なんてこったいまりさ。 君が逆の道を選んでいれば、幸せになれたかもしれないのに。 君が、いけないんだよ。 君がそっちの道を選ぶから 「君は、彼女へのプレゼントだ」 親まりさが選んだ道。 そこにはある伝統の家系の家がある。 幻想郷を見続けてきた、幻想郷縁起を編纂してきた名家。 稗田家が、ある。 全力で駆けるまりさが、稗田家の前に来た瞬間、私はまりさに『腹話術』をかけた。 「〝あっきゅうちゃ~~~ん。あっそびましょ~~~う〟」 おわり 子ゆっくりの運命は…… ───────── あとがきのようなもの コミックス版「魔王」最新刊五巻を読み終わった勢いで書いてしまいました。 そのため文体が安定していないかもしれません、申し訳ありません。 他に書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前) このSSに感想を付ける